山形教育用品株式会社 - 豊かな郷土山形を愛する子どもたちのすこやかな成長を願っています。

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2019年03月28日

旅立ちの季節

 菜の花が しはわせさうに 黄色して (細見綾子)

今年度も後4日となりました。来週月曜日は4月1日、新学期、新しい年度がスタートします。通勤途中にある小学校のグラウンドでは、卒業した子ども達がサッカーをして遊んでいました。小学校生活への名残惜しさと新たな出発への喜びが感じられます。別れとスタートを繰り返し、子ども達は大人になっていく。中高年はスタートがなくなり、別れしかなくなってくる。新たに何かやってみようという挑戦がなくなってくるとますます老いていくのかなと、元気に駆け回る子ども達をうらやましく感じたところです。

002%20%28220x124%29.jpgさて、3月初めのある日、社員に誘われて山形市内T小学校で開催されたコンサートに行ってきました。そのコンサートは、校長先生が自ら演奏する退職記念コンサートでした。D校長とは若い頃からの知り合いですが、歌を聴くのも、ギター演奏を聴くのも初めてでした。若い時分、路上で演奏もしていたという歌声は定年間近とは思えないほど声に伸びとつやがありました。曲もテレビから聞こえてくるジャパニーズポップスで、D校長のセンスと若さを感じました。
どの曲もすばらしいものばかりでしたが、なかでも、ゆずの『友 ~旅立ちの時~ 』と映画ドラえもんの主題歌『ひまわりの約束』がすばらしかった。2つとも合唱曲になると、歌詞の持つ意味と曲の豊かさがいっそう伝わってきます。歌詞だけ見ると、今時の言葉がぽんぽんと羅列しているように思いますが、その言葉にメロディーがのるとすばらしい曲の世界が広がります。オリジナルの曲もすばらしいですが、合唱曲にアレンジされると深みと豊かさがいっそう増すように感じます。特に、『友』は、2013年のNコンの課題曲だったこともあり心に残ります。郡山市立第二中学校の混声合唱は秀逸です。ぜひ、YouTubeでお聴きいただければと思います。

0010329%20%28220x165%29.jpg合唱を聴いていいなと思うようになったのは教員になってからです。小中学校時代は音楽が大の苦手で、「音が苦」でした。特に、歌を歌うことが嫌いで、成績はいつも「2」ばかりでした。技能教科において「1」というのは普通ないでしょうから、よっぽど歌えなかったのか、歌わなかったのかどっちかだったと思います。
そんな自分が小学校の教員になって、音楽を指導するとは夢にも思いませんでした。単純に、明るく、元気に、大きな声で歌っていればいいんだと若かった頃は思っていましたが、歌うことの楽しさ、人と声を合わせることの喜びを子ども達に伝えられなかった自分の指導の未熟さを恥じ入るばかりです。
最後に勤務した学校では、合唱活動が盛んでした。子ども達の生き生きとして歌う姿や表情はもちろんですが、美しい歌声やハーモニーの素晴らしさにいつも感動していました。合唱指導の先生の指導には、いつも感心したものです。学校には美しい歌声が響いていなければなりません。

惜別と希望の季節。D校長先生、38年間の教員生活ご苦労様でした。そして、小学校のグラウンドで名残惜しそうにサッカーに興じていた子ども達に、心に残った2つの曲の歌詞を送りたいと思います。

「友 さようならそしてありがとう 再び会えるその時まで
 友 僕たちが見上げる空は どこまでも続き 輝いている
 同じ空の下 どこかで僕たちは いつも繋がっている」

(ゆず『友 ~旅立ちの時~ 』から、作詞:北川悠仁)

「そばにいること なにげないこの瞬間も 忘れはしないよ
 旅立ちの日 手を振る時 笑顔でいられるように
 ひまわりのような まっすぐなその優しさを温もりを
 全部返したいけれど 君のことだからもう充分だよって
 きっと言うかな」

(秦基博『ひまわりの約束』から、作詞:秦基博)  (2019.3.28)

日時: 2019年03月28日 16:03

2019年02月26日

たまには歩いてみませんか

 紅梅の 紅をうるほす 雪すこし (松本たかし)

まもなく3月です。日もかなり長くなってきました。12月下旬、冬至の頃に比べると、昼の時間は1時間30分も長くなっています。雪国の人間にとっては、冬の日差しのありがたさを感じるこの頃です。それに、今年の冬は雪が少ない。いつもの冬より過ごしやすいです。積もっていた雪もすっかり消えました。大雪だった昨年の今頃は40㎝もあったのに、驚きの暖冬です。

003%20%28220x124%29.jpg雪が少ないからというわけではありませんが、この時期の通勤は時々「歩き」です。夏場は自転車、冬場は徒歩、時々車という通勤形態は、会社にお世話になって5年、変わらずです。慣れれば雪道もそれなり楽しいものです。車を運転していれば、運転に集中しなければなりません。しかし、歩けばじっくりと周りの風景を観察することができます。家並みの変わりよう、空を駆ける雲の動き、雪をまとった遠い山脈、両手で化粧しながら運転する女性。すべてがおもしろい光景ばかりです。新しい発見、楽しい出会いもあります。

知り合いの校長先生と話をした時です。新採校長として赴任した小学校は置賜地方飯豊町にある小学校でした。児童数50人に満たない小さな学校です。一斉下校指導で校長も子ども達といっしょの帰り道のことだそうです。町場の子ども達だったら、1列になって無口で帰りそうなものですが、その子ども達は仲良く手をつなぎ、学校で習った歌を歌いながら楽しそうにたんぼ道を下校したそうです。その時の様子を懐かしそうに話してくれました。校長先生は本当に感動したとおっしゃっていました。のどかな光景は、まさに『二十四の瞳』や童謡『靴が鳴る』を彷彿とさせます。多分、街中では見かけられない光景でしょう。
005%20%28124x220%29.jpg昔、小学校に入学してまもなく、学校からの帰り道、同級生の女の子と女の子の家までいっしょに帰ったことがあります。彼女は学区外通学で、今の下条五叉路付近のお店が家でした。小学校は昔の山形九小、今の馬見ヶ崎川沿いにあったので、小学1年生にとっては相当な距離です。手をつないだかどうかは記憶にありませんが、学校のことを話しながら帰った覚えがかすかにあります。
陽気のいい日でした。田おこし前の田んぼにはレンゲソウやオオイヌノフグリが咲き、スズメやヒバリが鳴きながら飛んでいました。のどかな風景です。きっと、手をつなぎたくなるんでしょう、歌も歌いたくなるんでしょう。でも、そんな記憶はありません。
校長先生の体験をお聞きして、50年以上も前の出来事を思い出したところです。決して妄想ではありません。

手をつなぐとか歌をいっしょに歌うという行為は、心が開かれていないとできるものではありません。子ども達同士の日頃の人間関係の良さもあるでしょうが、周りの風景や環境も子ども達の心を開く大きな要因になっているのかなと思いました。
『となりのトトロ』のエンディングに流れる『さんぽ』という歌があります。誰もが知っている歌詞は「歩こう 歩こう わたしは元気 歩くの大好き どんどん行こう」で始まります。作詞は、大好きな絵本作家の中川李枝子さんです。この歌詞のような気持ちで、これからも新しい発見を求めて元気に歩きたいと思っています。(2019.2.26)

日時: 2019年02月26日 11:06

2019年01月15日

「平成31年」明けましておめでとうございます

 初日の出 しだいに見ゆる 雲静か (夏目漱石)

新年明けましておめでとうございます。『平成』最後の年が明けました。平成も残り4ヶ月です。来年の正月は「○○2年」となるのか、新しい年号に関心が高い年明けとなりました。
今年の正月は9連休と、社員のみなさんにとってもゆっくりと過ごした正月になったのではないでしょうか。最近、正月が来てもさほどめでたくもうれしくもなく、いかに時間をつぶしたらよいかといった、暇をもてあますだけの正月です。昔はデパートに行って福袋だの、妻の実家に年賀の挨拶だのと忙しく過ごしたものですが、今は昔、デパートもありません。妻の実家もなくなりました。
行くところがありません。誰も相手にしてくれません。寂しく雑煮を食べる年明けとなりました。

さて、年明け7日の仕事始めの儀で次のような話をしました。
CIMG0928%20%28220x165%29.jpg「イノシシのことわざに『猪見て矢を引く』という言葉があります。「猪を見てから矢を引いたら遅いよ、間に合わないよ」ということです。『猪突猛進』のイノシシらしいことわざです。
昨年12月の仮決算では、前期63期は、残念ながら厳しい決算結果となりそうです。今年も、わたしたち教材販売業界を取り巻く環境は、厳しい状況に変わりありません。児童生徒数の加速度的な減少、それに伴う学校数、学級数の減少。学校は小学校2校、中学校2校減る予定です。さらに、新学習指導要領完全実施に向けた教材の整備、メーカーとの取り引き関係、中学校道徳の教科書使用開始、先生方のニーズの変化、そして、私たちの職場も含めた働き方改革問題、等々。商機もありますが、同時に課題も山積しています。
これらの諸課題を社員一人ひとりがしっかりと認識すること。同時にこれからの方向性をみすえて、どこに、どれだけエネルギーを注力していくかという、いわゆるベクトルを定めること。このことが、今後、私たち山形教育用品が、これから先も安定して持続可能な会社として存続していくことにつながると考えます。
イノシシを見てから矢を引いては遅いのです。先を見通して事前の対策を万全にしておくことが大事です。そのためにも、いつも申し上げていますが、今年も情報の収集、共有化を確実に図っていただきたいと思います。情報は鮮度が命です。常日頃、しっかりと連携を図っていくこと、情報を速やかに、確実に共有すること、その基盤となる日頃のコミュニケーションが交わされる職場作りに努めることが極めて大切です。
そのことが、同僚性の高まりに結びつき、会社がこれから安定して生き抜いていくことにつながると考えます。
CIMG0987%20%28220x165%29.jpgぜひ皆さん、64期は、一年を笑顔で終えることができるよう、毎日の努力が、確実に、まちがいなく目に見える「カタチ」「数字」になるようがんばっていきましょう。
同時に、ただひたすらがんばり続けるのではなく、やる時にはしっかりやる、休む時は休む。仕事にはメリハリ、軽重、緩急をつけることがいい仕事につながります。会社も大事に、家族も大事に、そして自分も大事にしてがんばりましょう」

今年も『雲静か』のような経営環境ではないと思います。しかし、一人ひとりの智恵と努力によって、今期が『しだいに見ゆる』『初日の出』のような明るい展望が開ける1年となるようがんばっていきましょう。

年頭なので、今回のブログは真面目な中身になりました。(2019.1.15)

日時: 2019年01月15日 10:34

2018年12月25日

年の瀬に思う

 大空の あくなく晴れし 師走かな (久保田万太郎)

久保田万太郎は東京浅草生まれです。冬の東京の晴れた空は、まさにこの句のようにどこまでも果てしなく澄んだ青空なんでしょう。どんよりと曇った鉛色の空の下に暮らす日本海側人にとっては気の重くなる季節の始まりです。今年の冬はエルニーニョが発生して暖冬との予想ですが、雪が少なくなることを切に期待したいです。

0041225%20%28118x210%29.jpgさて、この年末にたくさんの喪中欠礼のお葉書をいただきました。数えたら40通を超えています。ほとんどがお父様、お母様のご逝去によるものです。新聞には毎日、80歳以上の方々の訃報がたくさん載っています。
年の瀬、また一つ年を重ねるにあたり、日本の人口問題、高齢化社会について考えてみました。

日本の昨年1年間の死亡数は134万人、反対に出生数は94万人です。その差40万人。単純に考えると、1年間で40万もの人口が減った計算になります。日本の総人口のピークはちょうど10年前、平成20年で1億2千808万人でした。その後減少に転じ、今年の11月には1億2千645万人です。10年間で163万人も減少しています。鹿児島県の人口に匹敵する数字です。山形県でも、この10年間でちょうど10万人の人口が減少しています。
今から80年後、西暦2100年には日本の人口は6000万人を下回るそうです。今の半分、驚きです。
昭和49年に、国は「日本人口会議」で「日本人口爆発によって様々な問題が発生するから、子どもは2人まで」という大会宣言を採択しています。
『人口爆発』なんて言葉がすんなり受け入れられたのです。今は昔、そんな時代もあったのです。もう、これは今話題の「外国人労働者」をたくさん受け入れるしかないのでしょうかね。

日本の高齢者の割合も総人口の3割近くを占めます。この場合の高齢者とは65歳以上をさします。この割合は世界でも類を見ない、極めて高い数字です。世界一だそうです。
若かった頃、自分が高齢者になるなどととは考えもしませんでした。二十歳になる時は、何かしら浮かれた想いがありました。四十になった時には、おじさんになっちゃったとため息を漏らしました。六十になった時には、さすがに沈黙しかありませんでした。そして、来年はいよいよ高齢者の仲間入りです。

%E3%83%94%E3%83%A9%E3%82%AB%E3%83%B3%E3%82%B5%E3%82%B9%EF%BC%90%EF%BC%911225%20%28140x210%29.jpg『論語』に「子曰く、吾(われ)十有五にして学に志す、三十にして立つ、四十にして惑わず、五十にして天命を知る、六十にして耳順(したが)う、七十にして心の欲する所に従えども、矩(のり)を踰(こ)えず(私は十五才で学問を志し、三十才で学問の基礎ができて自立でき、四十才になり迷うことがなくなった。五十才には天から与えられた使命を知り、六十才で人のことばに素直に耳を傾けることができるようになり、七十才で思うままに生きても人の道から外れるようなことはなくなった)」と有名な言葉があります。
まだまだ、人間できていないなあと自戒するばかりです。さすが、儒教の始祖と呼ばれる孔子が自らの生き方を語った言葉です。でも、「惑って」ばかりいるということは、まだ四十にも達していない、まだ気持ちは高齢でないなどと、自分勝手な解釈をしてしまいます。

年末にあたり、とりとめのない話になりました。年が明ければ、一つ年を重ねるわ、会社にとって大切な子どもの数は減るわで、将来の展望は暗いとは言わないまでも、薄暗い状況です。
今回は、冒頭の句のような爽やかな内容とはほど遠いものとなりました。
みなさんには幸多くよい年となりますよう心よりお祈り申し上げます。(2018.12.25)

日時: 2018年12月25日 11:41

2018年11月28日

第51回YBC読書感想「本の森たんけん」受賞おめでとう

 冬来たる 眼みひらきて 思ふこと (三橋鷹女)

001%201128%28210x118%29.jpgこの句を詠んだ俳人鷹女先生、果たして何を思ったんでしょうね。しかも、「眼みひらきて」ですから。ある人は、「何かを見ているのではない。己の心を深く見つめているのだ」と言っています。深いですね。
寒い日が続きます。まさに「冬来る」、暦では「小雪」です。雪がちらつき始めました。心を見つめるにふさわしい季節です。

今月10日に「第51回YBC読書感想『本の森たんけん』」の表彰式が山形メディアタワーで行われました。今年度の応募数は小中高、一般合わせて929点と、近年にないたくさんの応募がありました。昨年と比べても231点も増え、主催者としてもうれしい限りです。

DSC06021%20%28210x140%29.jpg表彰式では、特選者21人、入選者30人のみなさんと、学校賞に選ばれた10校の代表者の方々に賞状と副賞をお渡ししました(佳作48人のみなさんには学校で授与になります)。
審査委員長の日本国語教育学会山形県支部会長、菊地とく先生からは、「本を読んでの自分の思いや考えを、木にたとえれば太い幹のように最初から最後まで貫くことの大切さ」を強調されたご講評をいただきました。
また、特選、入選の受賞者を代表して、蔵王第一小学校2年松井渚紗さんと大石田中学校2年安達結子さんの二人から受賞した作品を読んでもらいました。松井さんは主人公「おさるのこうすけ」と自分の弟と妹を重ねて人とのつながりを、安達さんはカレーライスの食材づくりから「いただきます」の意味について書いた感想文の朗読を会場のみなさんに堂々と披露してくれました。

そのほかの特選者のみなさんの作品にもすばらしい感想がたくさんありました。一部抜粋して取り上げることは感想文という一つのまとまりからすれば趣旨に沿わないとは思いますが、お許し願います。
 
☆朝暘三小4年 菅 秀真くん 『ええたまいっちょう!』
「心が軽くなれば、体の苦しみも軽くなる。心を軽くするのは、人の心が一番なんだなって思った。そして、人の心を深くきずつけるのも人の心。だからぼくは、野球のキャッチボールをするように気持ちもキャッチボールをして、人の心を軽くできるような人になりたい。」

☆長井小4年 左右田 心さん 『はたらく』
「世界にはいろんな人がいて、いろんな生き方があることを教えてくれました。『はたらく』ことはお金をもらって生活をするためです。でももし、一生生きていくだけの十分なお金があったらみんなどうするのだろうかと想ぞうしてみました。『はたらく』ことをやめる人がいるかもしれないだろうし、やめない人もいるだろうと思いました。『はたらく』ことをやめなかった人は、『はたらく』ことに楽しみややりがいを感じるからなんだと思いました。
 私はしょう来、『どんな大人になりたい』のか、『しょう来のゆめ』をはっきり言える自信はまだありません。でも、この本を読んで私が『はたらく』ことでだれかの役に立ったり、だれかを楽しませられたりできたらいいなあと思いました。『はたらく』は半分大人になる自分に勇気をくれた1さつでした。」         

☆大蔵小6年 加藤 響さん 『運動会小説 走れ!ヒットン』
「この本に出会う前には、私にとっての仲間は、つらいときに支えてくれるかけがえのない存在だった。そんな仲間を傷つけまいと思って暮らしてきたが、それだけでは、信頼していることにはならないと思うようになった。わたし自身が、努力できることには、手を抜かずにやるとか、仲間ができるようになるまでがまんして待ってみるとか、いろいろな方法があるのだと、この本が教えてくれた。今、私は変わっていく。友だちの気持ちを深く考えて、仲間を助けようとする、笑顔いっぱいをめざすヒットンなような人へ。」  

☆興譲小5年 石川 智温くん 『あぐり☆サイエンスクラブ夏』
「山と川とに囲まれた平野に整然と、かつ、どこまでも続く田んぼの美しさにぼくは改めて心をうばわれた。今までだって、同じような景色はいくらでも見たことがあるが、こんなに深く心に残ることは無かった様に思う。
 なぜぼくは変わったのか。それは、夏休みの初日に読んだ『あぐり☆サイエンスクラブ夏』という本と、山形の田んぼや風土のおかげだ。」 

002%201128%28210x118%29.jpgどの感想からも、子ども達の純粋な気持ちと将来への希望が伝わってきます。本を読むことをきっかけに、子ども達の感性が磨かれ、一回り心が豊かになったような感じを受けます。読書ってすばらしいなと、あらためて思います。

読書のキャッチコピーに秀逸なものがたくさんありました。たとえば、
「あの人のカバーを外したい。」
「秋も、出会いの季節だと思う。」
「こころ、色づく。」
「いい本、実りました。」
「絵本は子どもが初めて出会う別世界。」
今すぐにでも読書へと誘うすばらしいものばかりです。どうです、今から読書してみませんか、「眼みひらきて」。(2018.11.28)

日時: 2018年11月28日 09:31

2018年10月26日

「つながり」と「間」

 白露や 茨の刺(はり)に ひとつづつ (与謝蕪村)

002%20%28118x210%29.jpg二十四節気の一つ、「霜降」の季節です。あの暑かった今年の夏が懐かしいぐらい肌寒い朝夕です。今朝の気温は4.8℃でした。何とも寒い!
会社ではクールビズが終了して一月。ネクタイの時期となりました。女性にはご理解いただけないでしょうが、首を布帯で締めるということは極めて苦しい行為だと思います。背筋がぴんと張って活力がみなぎると言う人もいますが、わたしは昔から苦手です。
若い頃は、いつも体育着を着て出勤し、休み時間はもちろん、授業中も体育着、全校教職員写真撮影も体育着でした。グラウンドや体育館で子ども達と遊んでばかりいて、よく教務主任や教頭から「学年主任は休み時間は職員室にいないとダメだ」と怒られました。子どもと遊んで何でダメなの? 多分、連絡や報告もあるのかもしれません。よくわかりません。その後も、ひたすら遊んでいました。

さて、あいかわらず学校における「いじめ」問題が深刻です。連日、マスコミで取り上げられます。未成熟な子どもだけでなく、社会人である大人の世界でも、パワハラ、セクハラ、アカハラ、マタハラ等々、日常茶飯のハラスメントです。他をいじめたいというのは生物的な本能で、それをどうコントロールするかが大事だとも言います。

001%20%28118x210%29.jpg9月に開催された「第57回県少年の主張大会」で、天童市立第三中学校3年の岩淵礼姫(あやめ)さんが最優秀になりました。「人生を駆け抜ける」という題名で、自分が受けたいじめの体験といじめ根絶への主張、願いです。こんなことを訴えています。
「今苦しくて悔しくて、もうこんな人生捨ててしまいたい。そう、思っているかもしれない。わたしもそうだった。でも、死んで何になる。あなたが死んでしまったら、どれだけたくさんの人が悲しむか考えて欲しい。あなたのたった一つの尊い命を捨てないで欲しい。
『生きていてよかった』そう思える日が必ず来るから、全力で生きて。逃げていいんだよ。人生は自分の努力次第でどうにでもなるから、今は自分の命を大切にして欲しい」(山形新聞より一部抜粋)
「限界まで追い込まれた」体験を持つ岩淵さんの訴えには、ワイドショーの薄っぺらなコメントとは違って心動かされます。

003%20%28135x210%29.jpg今年ベストセラーになっている新書に『友だち幻想』(菅野 仁 著)があります。菅野さんの考えには共感するところがたくさんあります。
 一部紹介すると、
「共同体的な凝集された親しさという関係から離れて、もう少し人と人との距離感を丁寧に見つめ直したり、気の合わない人とでも一緒にいる作法というものをきちんと考えたほうがよいと思うのです」

「学校というのは、とにかく『みんな仲良く』で、『いつも心が触れ合って、みんなで一つだ』という。まさにここで私は『幻想』という言葉を使ってみたいのですが、『一年生になったら』という歌に象徴されるような『友だち幻想』というものが強調されるような場所のような気がします。けれど私たちはそろそろ、そうした発想から解放されなければならないと思っているのです」

「『自分のことを百パーセント丸ごと受け入れてくれる人がこの世の中のどこかにいて、いつかきっと出会えるはずだ』という考えは、はっきり言って幻想です」

「過剰な期待を持つのをやめて、どんなに親しくなっても他者なんだということを意識した上での信頼感のようなものを作っていかなくてはならないのです」

自分以外のすべての人間は「異質性を持った他者なのである」という前提に立って、他者との間の取り方、距離感を図りながら、賢く「共在」していくことの大切さを教えられたような気がします。(2018/10/26)

日時: 2018年10月26日 09:37

2018年09月26日

盛岡に「光原社」を訪ねる

 響爽か いただきますと いふ言葉 (中村草田男)

00111%20%28124x220%29.jpgこの句、季語は「爽か」です。「爽やか」とは、もともとはさらりと乾いた秋風が吹くことをいい、その風に包まれるときの感じをいうようになり、さらに秋のここちよい気分をいうようになったそうです。「さわやかな春」や「さわやかな夏」と言うのは本来は間違いで、「うららかな春」、「清々しい夏」とつかうべきだそうです。あくまでも俳句の世界ですが…。

今月中旬、爽やかな秋空のもと、大学時代の友人4人と盛岡市内の観光を楽しんできました。毎年恒例になっている旅行は、大学卒業以来40年以上続いているものです。旅行といっても、観光だけが目的ではありません。あくまでも、情報交換と親睦が目的です。現職の頃は、かなり議論もしました。校長職になれば、互いの経営方針、経営姿勢について激しく論じ合ったものです。退職した今も気持ちは学生時代、常に楽しく、時に激しく、最後は笑っておしまいです。

さて、今回は盛岡在住者が企画した盛岡市内の歴史研修となりました。盛岡市内には数多くの名所旧跡があります。さすがに、鎌倉時代から明治維新まで700年間も盛岡藩を領有し続けた大名南部氏の歴史を感じます。
securedownload%5B1%5D%20%28220x165%29.jpgその中の一つに「光原社」本店があります。「光原社」とは、宮沢賢治が生前唯一の童話集「注文の多い料理店」を発刊した出版社です。「光原社」というすてきな社名も賢治の名付けです。現在は、南部鉄器や漆器の郷土民芸品のほか、国内外の工芸品を取り扱っています。
「いーはとーぶアベニュー材木町通り」にたたずむ蔵造りの店は、なかなかの趣があります。賢治の資料館が建つ中庭には紅葉や竹が茂り、一服の涼を感じさせます。また、同じ中庭にある「可否館」ではおいしいコーヒーをいただけます。

賢治は多くの詩や童話を残しています。どれも賢治の世界観があふれた作品ばかりです。好きな作品をあげるとすれば、「グスコーブドリの伝記」です。冷害に苦しむイーハトーブの農民たちを救うために自分の命を犠牲にする技師、ブドリの話です。挿絵は、当時は無名だった棟方志功です。
その中に次のような一節があります。

00333%20%28220x124%29.jpg「人はやるだけのことはやるべきである。けれどもどうしてももうできないときは、おちついてわらっていなければならん。落ちつき給え。」

家ではいつも、「せかせかしないで、おちついて!」と言われている身です。やるべきことはしっかりとやって、後は腹をくくって笑って待つ、いわば「人事を尽くして天命を待つ」あるいは「泰然自若」、そんな生き方の構えを大切にしたいですね。(2018.9.26)

日時: 2018年09月26日 15:58

2018年08月27日

「銀水荘の“こころ”」に学ぶ

 すでに晩夏 草ぬきんでて 昏れる山  (桂 信子)

「Off Course(オフコース)」の初期のヒット曲に『僕の贈りもの』があります。作詞の小田和正が「夏と冬の間に 秋をおきました だから秋は少しだけ 中途半端なのです」と綴っています。
「処暑」も過ぎ、あっという間に爽やかな秋という感じです、と言いたいところですが、台風やフェーン現象の影響で連日酷暑です。しかし、お盆が過ぎると日が沈むのも早く、午後6時過ぎには空が黄昏れてきます。夕方には、少しだけですが涼しさが感じられます。田圃の稲も収穫を前に稲穂が黄金色に熟し始めています。もうすぐ稲刈りが始まります。もう秋! 秋! 秋! です。中途半端な、秋です。

027%20000%28220x124%29.jpgさて、8月の初旬の炎暑の中、本社クラブの研修旅行で伊豆半島に行ってきました。前日の豪雨の影響もありましたが、総勢22名の旅行隊は、幹事の皆さんのお陰で予定通りの時間とコースで伊豆を満喫してきました。どこに行っても魚料理のおいしいことに全員感激のようすでした。写真は、沼津港での昼食ですが、あまりの豪華さに手が震えています。

宿泊した稲取温泉「銀水荘」は、「プロが選ぶ 日本のホテル・旅館100選」で総合ランキング第4位(料理部門とおもてなし部門では2位)に輝いた一流旅館でした。料理はもちろん、風呂も部屋からながめる景色、そして、おもてなしの素晴らしさを感じてきました。

この銀水荘に、「銀水荘の“こころ”」というメッセージがあります。

009000%20%28124x220%29.jpg「おもてなしは・・・
 接し方も、受け方も、
 お客様により、
 またそのときどきにより、
 千差万別。

 銀水荘でお客様に接する者には、常に『判断』と
『想う心』が、求められております。
 その場の雰囲気、常にお客様の心を考え、想い、
 行動する心。

 ご来遊のお客様からいただく声を真摯に受け止め、
 常に改善に結びつけ、未来につなげる姿勢。
 一人と一人としてお話を伺い、一人ひとりのお客様に 向けて
 想いを伝える。

『当たり前のことを当たり前に』
『当たり前のことをそれ以上に』
 
 銀水荘、おもてなしの心。」

すばらしい。見事です。このような経営の考え方、姿勢があるから、常にトップクラスのランキングなのでしょう。わたしたち山形教育用品も学ぶことが多いと感じました。
「『判断』と『想う心』」「当たり前のことを当たり前に 当たり前のことをそれ以上に」
反省させられます。大切にしたい言葉ですね。(2018.8.27)

日時: 2018年08月27日 11:13

2018年07月30日

大人になることは、ときめきや憧れがなくなること?

 一点の 偽りもなく 青田あり (西東三鬼)

冒頭の俳句の「青田(あおた)」のほかにも、「青田風(あおたかぜ)」「青田波(あおたなみ)」「青田面(あおたのも)」といった季語がありました。田圃の稲が青々と成長している様子です。素敵な言葉だと思います。暑い夏空の下、青々とした稲が風に吹かれる光景には一服の涼を感じます。
001%20%28230x130%29.jpg今年は空梅雨じゃないかと思えるほど雨が少ない6、7月でした。梅雨が明けたと言われても、もう6月初めから乾燥した暑い日が続いています。しかし、西日本では7月初めの豪雨で220名以上の方々が亡くなっています。被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。(ちょうどその時、某首相も東京は「赤坂自民亭」やらで宴会を楽しんでいたそうですが…)

さて、当方もちょうどその時、私用で東京に行っていました。東京まで3時間弱の旅です。「東京に行ってくる」と言うと、昔はステータスの高さを感じるものがありました。吉幾三の『俺ら東京さ行ぐだ』の気分です。中学校の修学旅行でディーゼルカーに乗って、初めて東京に行った時は東京のすべてに感激しました。まさしく、「おのぼりさん」そのものです。列車も「おもいで号」という名前で、昭和を感じさせるものでした。東京まで6~7時間ぐらいの旅でした。その時はそれほど長いとは感じませんでしたが、今の倍の時間です。それを考えれば、山形新幹線はミニ新幹線といえども快適です。

便利になったとはいえ、今は昔胸ときめかせたほどの東京への憧れは、もうそれほどありません。「また、東京か」といった感じです。
「マイ・ペース」というフォークソンググループの歌に『東京』があります。サビの部分の「東京へはもう何度も行きましたね 君の住む美し都 東京へはもう何度も行きましたね 君が咲く 花の都」は秀逸だと思います。「『美し都』『花の都』東京」。この頃、そんな東京への憧れもなくなってきている自分が寂しく感じられます。

大人になること、便利になることは、距離感が縮まること、ときめきや憧れがなくなることじゃないかなと思います。幼い時分、家族で七日町に行くことが楽しみでした。バスに揺られてわずか30分ぐらいの距離でしたが、ずいぶんと遠く感じられたものです。修学旅行で松島や福島に行くことは異国に行ったような気分でした。でも今は、車で1時間の距離でも短く感じます。中高の時、自転車であっちこっちと遠出をしました。山形って広いなと思いました。通行人も多く、街全体に活気がありました。今は、寂しい町だなと思うほど小さく感じます。
現実には、昔も今も距離も広さも変わりはしません。自分の気持ち、心の問題なのでしょう。遠いところ、なかなか近づけない存在に人はときめき、憧れを抱くのではないでしょうか。いろんなことに憧れを持つことがなくなってきたことがちょっと悲しいです。大人になったからというより、年を取ったからなのかなと考えてしまいます。

002%20%28230x130%29.jpgところで、東京銀座のホテルの部屋から田圃が見えました。驚きました。田圃と行っても、隣のビル屋上の一枚の田で稲作をしている光景です。しかし、驚きました。「東京の中心地銀座のど真ん中に田圃か!」数十m先には歌舞伎座が見えるではありませんか。しばらく、見入ってしまいました。
ときめきや憧れはだんだんとなくなってきても、新しい発見はあるものです。そんな小さなことを大事にしたいなと思います。
「田一枚 植えて立ち去る 柳かな」の芭蕉の心とは違うかもしれませんが、今年も憧れだった東京に立ち寄ることができたという思いで帰形したところです。(2018.7.30)

日時: 2018年07月30日 13:42

2018年06月28日

ブラックと言われる職場“学校”

 梅雨晴れの 夕茜して すぐ消えし (高浜虚子)

DSC_0064%20%28220x124%29.jpg山形も梅雨入りしました。雨は嫌いです。好きな人はいないかもしれませんが、田植えが終わった後の田圃の水面に雨がしとしとと降る光景は風情を感じます。でも、今年は休耕している田圃が多く、ちょっと寂しいです。

NHKで『やけに弁の立つ弁護士が学校でほえる』(通称「やけ弁」)という、なんとも変な題名のドラマが4月から5月にかけて全6回放映されました。副題に「スクールロイヤー(学校弁護士)」とあります。新進気鋭の若手弁護士が、「いじめ」「体罰」「モンスターペアレント」「教師の過重労働」など様々な問題が多発する学校に配置され、法律を武器に教育現場の再生に向け立ち回るという内容です。
神木隆之介演ずる頭の切れる青年弁護士がなかなか痛快です。法律と理屈で、難題を次々に解決していきます。と、言いたいのですが、それほど現場は甘くありません。時には、自分自身の不登校体験や、被害者生徒の心の奥に踏み込みながら解決の糸口を見いだそうとする姿にはちょっと感動を覚えます。そこには、『ごくせん』や『GTO』のような、民放ドラマの「切った、張った」といった、刀で一刀両断するような痛快活劇ストーリーはありません。「ブラック」と言われる学校の長年溜まってきた膿を何とか取り除こうと悩み、葛藤する姿に、今の先生方の姿がダブります。

00200%20%28220x165%29.jpg第3回は部活動中の事故をめぐり、専門外の部活動を担当している臨時教員が責任を取って学校を辞める話でした。
お付き合いのある保険会社の支社長さんが言っていました。県外に住まわれる娘さんの中学校では、毎朝7時から部活動の「朝練」があると。えー! と、驚いてしまいました。調べると、全国で4割もの中学校が朝練を実施しているようです。
2017年にスポーツ庁で実施した中学校の運動部活動実態調査をもとに、内田良、名古屋大学大学院准教授が都道府県ごとの部活動時間を算出しています。それによると、男女平均の部活動時間は千葉県が最長で週18時間50分(土日も含む)、1日平均2時間40分、最短は岐阜県で週11時間30分、1日平均1時間40分だそうです。何と、週当たり7時間、1日1時間もの差があります。
山形県は全国41位で下位に位置し、1日平均2時間ぐらいでした。平均的な数値です。基本的に、朝練はどこでもやっていません。お隣の宮城県では、今年3月に部活動ガイドラインを改定し、朝練を原則禁止にしました。当然だと思います。授業前に運動して、放課後もまた運動といった運動漬けでは、勉強大丈夫なのと考えてしまいます。しかも、早朝指導するのは学校の先生でしょ。授業大丈夫なの、健康大丈夫なの、とこれまた考えてしまいます。

DSC_0065%20%28220x124%29.jpg今、いや、これまでも学校はブラックだったんでしょう。いじめや不登校、毎日の生徒指導や部活動、保護者対応、連日の会議、夜遅くまでの勤務や休日出勤。それを当たり前だと信じていた頃は、「すべては子どものため」という錦の御旗を自ら掲げていたのかもしれません。でも、今はその旗を少し下ろしてもいい時代に入ったんではないでしょうか。
悩めるスクールロイヤー田口。でも、決して暗いわけではありません。颯爽としています。その姿には、今日ダメでも、明日がんばろうという明るい意志が感じられ、救われます。Part2を期待したい。

<追記>
これを書いていたちょうどその時、茨城県の県議会で、教育委員会からの朝練禁止のガイドライン提案に対して、「やる気がある生徒にどう応えていくのか。本当に生徒のことを考えて方針をつくったのか」という反対の立場から意見が出され、もめにもめたそうです。いろいろな立場、意見があるなあ、とあらためて簡単には解決できない難しさを感じました。でも、今の部活動のあり方にやる気が感じられない生徒や、業務軽減、改善が強く求められている先生方のことを第一に考えてもらいたいものです。(2018.6.28)

日時: 2018年06月28日 09:31

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