山形教育用品株式会社 - 豊かな郷土山形を愛する子どもたちのすこやかな成長を願っています。

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2017年07月27日

「こころ旅」に癒やされる

 打水や 塀にひろがる 雲の峯 (村上鬼城)

NHKテレビBS放送の「にっぽん縦断 こころ旅」が好きです。多分みなさんもご覧になったことがあると思います。
俳優火野正平さんが愛車チャリオに乗って日本全国を旅して回る番組です。ただの旅番組と違うのは、「忘れられない風景」や「心に刻まれたふるさとの情景」など、視聴者から寄せられた手紙を紹介しながら旅が進められることです。1回の旅が40日から60日にも及ぶもので、御年68歳になる正平さんにとってはかなり過酷な旅です。
話はそれますが、火野正平といえば、たいへん失礼ながら女好きな、生意気な俳優という印象を持っていましたが、この番組を見始めてから「なかなかなこの人おもしろいな」と印象が変わりました。
番組がスタートした当初は「火野正平」と呼ばれることもなく、「真田広之」とか「役所広司」など、似ても似つかぬ二枚目俳優の名を呼ばれることが多かったのですが、7年目ともなるとさすがに「火野正平」という本名が定着したようです。旅先では「正平さ~ん!」とあちこちで声を掛けられます。
番組ではいつも自然体で、飄々とした人柄にすっかりファンになってしまいました。何より、彼の言葉に表れる感性の豊かさには驚かされます。幼い子どもには心優しく、若い女性には口説くように、若くない女性にはそれなりに言葉を掛けています。

015%20%28230x173%29.jpgさて、「こころ旅」が始まって7年目となる今年の春の旅は、四国の高知を出発して北海道をめざす、まさに日本縦断の旅になっています。何よりうれしかったのは、6月の最終週の舞台が山形県だったことです。しかも、第1日目が昔勤めた山辺町作谷沢の湧水で、手紙を書かれた方は山形市内の小学校を2年前にお辞めになったI校長先生でした。
作谷沢には湧水が名前が付いているだけでも12あります。中でも畑谷にある七番水「弁財天」は水量豊かで、コーヒー用に何回か汲みいったことがあります。
「こころ旅」では、その中の一つ五番水「萬年水」を訪ねる旅でした。おいしそうに湧き出る清水を飲む正平さんですが、わたしが赴任していた頃は子ども達から「先生、あそこの水は大腸菌が多いから飲まない方がいいよ」と言われていましたが…。
湧水の里「作谷沢」にある作谷沢小中学校。わたしが赴任した12年前は、小中合わせて33人の児童生徒数でしたが、今年度はちょうど半分の16人のようです。作谷沢は昔から教育熱心な地域で、豊富な杉材の取り引きで得た果実を奨学金にして教育の振興に努めてきたと聞いています。
おかげで山形市内からは30分あまり奥まった山間に入らなければならない地域ながら、多くの人材を輩出してきました。輸入木材が主流になった今も、地域の教育振興にかける思いはたいへん強いものがあります。

学校に赴任した時、驚いたのは子ども達、特に中学生の自信に満ちた姿勢、態度でした。僻地の子どもは物おじして、大きな声で話すことができないといった先入観は瞬く間に雲散霧消。人のことを思う気持ちも強いけれど、何より自分自身がしっかり生きようとする思いが強く感じられました。それは、作谷沢の赴任された学校教職員たちによって連綿とつながれてきた作谷沢の子ども達に対する思い、願いがこめられた教育の歴史だと感じました。また、先輩から後輩へと受け継がれてきたよき伝統でもあると思いました。
017%20%28173x230%29.jpg自信にあふれ、力強く生きようとする子ども達と過ごした1年間は教員生活の宝物になりました。
わたしはたった1年しか勤めることができず、また教育行政の場に戻りましたが、地域の方々からはずいぶんと不信を買ったと思います。自分自身から異動を希望したわけではありませんが、10年以上経った今も何か後ろめたい思いが残っています。

I校長先生のように正平さんに手紙を出したわけではありませんが、坂道を自転車で必死に登る姿に作谷沢と子ども達への感謝の思いを託したような思いです。
<追記>
3月にスタートした2017年春の旅も、先週末、ゴールの北海道北見市に「とうちゃこ」。無事、春の旅を終えることができたようです。正平さん、お疲れ様。秋の旅を楽しみにしています。(2017.7.27)

日時: 2017年07月27日 14:00

2017年06月28日

「伝える力」を磨きましょう

 梅雨晴の 夕茜して すぐ消えし (高浜虚子)

二十四節気の一つ、「夏至」の時期となりました。日も極めて長く、日没も午後7時を過ぎます。冬よりも夏が好きな者にとっては、明るいうちから酒を飲むことができるこの時期が一番です。今年2月から始まった「プレミアム・フライデー」は残念ながら失敗に終わりそうですが、社員の皆さんには、明るいからといって遅くまで仕事をすることなく、この時期こそ早く帰宅して一家団欒に努めてもらいたいなと思います。

nae.jpgさて、今年に入ってから訳あって住宅設備メーカーや家具店のショールームを訪ねる機会が多いです。東京や仙台に比べると山形の展示場は大きくはありませんが、基本的な設備は揃っており、自分が求めている大まかなイメージはつかむことができます。それ以上の細かな部分の実際を見たい時には仙台にもでかけています。
いろいろなショールームを訪問して感じるのは、アドバイザーの接客能力の素晴らしさです。接客マニュアルはあるのでしょうが、何よりその人の人間性、感性とか品格の素晴らしさを感じます。もちろん、商品に対する専門知識を完璧に持ち合わせていることが第一ですが、その商品特性を顧客に対し、正確に、わかりやすく、的確に説明するという「伝える力」が極めて大切だと思います。

ジャーナリストの池上彰さんの著書に『伝える力』があります。150万部を超えるベストセラーで、今現在、140刷にもなっています。この中で池上さんは「伝える力」のポイントを3つあげています。

1つは、【自分自身が話す内容を完全に理解する】こと。
まずは、「自分がいかに知らないかを知る」ことが大切だと言っています。ことわざで言えば、「教うるは学ぶの半ば」ということでしょうか。話す本人が話す内容をきちんと理解していなければ、相手に内容が伝わらない、教えられない。われわれ営業担当も、先生方に採用いただきたい教材や製品のよさや特長をしっかりわかっていることが大事だと思います。

2つ目は、【相手を惹きつける話し方をする】こと。
そのためには、はじめに「つかみ」で相手に「どういうこと」と興味を持たせることが大切だと言っています。相手の心をつかむ方法(「つかみ」)をうまく活用することが相手を惹きつけることにつながります。映画やドラマ、コントや漫才、落語を見たり聞いたりして思うことは、「つかみ」の大切さです。「つかみ」の部分で、もっと見たり聞いたりするか、それとももうこれ以上はやめようかが決まってしまいます。わたしは、この「つかみ」が苦手です。日頃、意識してテレビを見たり、読書することが大切なんでしょうね。

3つ目は、【見た目の態度も重要、自信を持って話す】こと。
『人は見た目が9割』という本もあります。声が小さい、おどおどしている、モジモジしているなど、自信のない態度では、たとえ言っていることの中身が良くても、相手の心を動かすことはできません。当たり前ですが、自信をもつこと、聞き手の目をしっかり見ることが大切です。そのためにも、先の1つめ、2つめのポイントが大事だと思います。

わたしが訪問した多くのメーカーのショールームのアドバイザーのみなさんは、どの方も一流です。商品に対する専門性も十分に備わっていました。しかし、超一流と感じるアドバイザーは、「伝える力」が一流の方よりはレベルが高いと感じました。何よりも顧客が何を求めているのかということを確実に察知し、的確な説明ができています。
ある時、デザインはどれにしようかと迷っていたところ、アドバイザーがさりげなく寄ってきて丁寧にそれぞれの特徴を端的に説明してもらいました。とてもいいアドバイスを受けて大変助かった思いがあります。

hana.jpg多くのショールームを訪問して、二流と一流の違い、一流と超一流の違いを肌で感じることができたと思います。
わたしたち山形教育用品の営業も同じでしょう。「伝える力」を磨くことによって、二流の営業から一流の営業へ、さらに超一流の営業へと高めていくことが大事だと思います。

池上さんは、『伝える力』で次のように言っています。
「つねに『おかげさま』の気持ちを持って、陰口や悪口は慎み、相手の話をじっくり聞く姿勢を持つ。そうすることで、好感度や信頼はずいぶん高まるし、『伝える力』にも一層磨きがかかります」と。
常に、相手に対して「謙虚」に、「聞くこと」を基本としたコミュニケーションの大事さを感じました。「伝える力」というより、「伝わる力」と控えめに言ったほうがいいのかもしれませんね。(2017.6.28)

日時: 2017年06月28日 09:58

2017年05月29日

居酒屋のコースターに学ぶ

 涼風の 曲がりくねって 来たりけり (小林一茶)

ゴールデンウィークもあっという間に終わりました。子どもも大きくなると観光地に行って遊ぶこともなく、駅前の居酒屋で飲み食いしておしまい、というまことに寂しい連休になりました。会社的には、次の大型連休はお盆の時期になります。ああ、待ち遠しい。

ha_130%5B1%5D%20%28230x173%29.jpgさて、二十四節気の一つに「小満」があります。今年は5月21日でした。「小満」とは、陽気が良くなって、万物の成長する気が次第に長じて天地に満ち始めることからいわれています。山形でも、桜の花が散って葉桜になり、山々の緑もすっかり若葉におおわれてきたと思ったら、もうすっかり緑も色濃くなってきました。いよいよ草花が伸び盛る季節です。

そんな花々を人生にたとえた「人生花づくし」というものがあります。これは多くの方がさまざまなブログでも紹介しており、ご承知の方も多いと思います。わたしも先日、「HのM」という居酒屋チェーンでお酒を注文したところ、グラスを置くコースターに載っていたことで初めて知りました。次のような人生の教えです。

「人生花づくし」
 親の教えは  きくのはな
 人の悪くち  くちなしで
 頭は垂れて  ふじのはな
 笑顔あかるく ひまわりで
 愛をはぐくむ ばらのはな
 心清らか   しらゆりで
 世は移ろいて あじさいの
 月日は早く  たちばなで
 散り際さやか さくらばな
 先は浄土の  はすのはな

実に興味深いので調べてみたら、もっと教えがたくさんあるロングバージョンもありました。

 親の教えは  きくのはな
 悪に染まれば くずのはな
 人の悪くち  くちなしで
 愚痴とまやかし なしのはな
 頭は垂れて  ふじのはな
 笑顔あかるく ひまわりで
 愛をはぐくむ ばらのはな
 心清らか   しらゆりで
 香りも高き  うめのはな
 迷いの綱は  きりしまで
 罪と障りは  けしのはな
 失意の胸は  なでしこで
 世は移ろいて あじさいの
 翳り背負いて ゆうすげで
 月日は早く  たちばなで
 年もつもれば こけのはな
 恍惚きざせば ぼけのはな
 露よりもろき あさがおで
 行者の照明  つげのはな
 散り際さやか さくらばな
 先は浄土の  はすのはな

なんとも調子のいい七五調です。しかも、それぞれ巧みにしゃれを効かせた意味深い教えです。
「確かで、正直な会社」を標榜する山形教育用品を考えれば、何と言っても「頭は垂れて ふじのはな」「笑顔あかるく ひまわりで」の教えは大切にしたいなと思います。相手には常に謙虚に、誠実に。そして、いつも明るい笑顔とさわやかな挨拶を。毎日を忙しく過ごしていると、つい忘れがちになるエチケットやマナーという大事なふるまいを思い起こさせてくれます。

002%20%28230x173%29.jpg昔、教育行政の仕事をしていた後にやっと学校に戻った時、「この前まで眉間にしわを寄せていた時と違って、穏やかな顔になりましたね」と言われたことがあります。自分の厳しい表情に気づいていなかったことに恥ずかしい思いをしたことを思い出します。
その意味で、男性も女性と同様に常に鏡を見ることが大事だなと思います。「部屋に鏡を置くことで、自己修正機能が活発になり、自分の嫌な部分を直そうとする心理が働く。マイナスにとらえるのではなく、ありのままの自分を受け入れることも大切です」だそうです。
女性が車を運転している時、いつもバックミラーを見て髪型を直したり、化粧をしていることにも深い意味があるんだなと思いました。男性も時々、自分の顔チェック、表情チェックすることをおすすめします。特に、営業担当は学校を訪問する前にバックミラーでチェックしましょう。

自分もそろそろ「月日は早く たちばなで  年もつもれば こけのはな  恍惚きざせば ぼけのはな」のようなものですが、「気持ちはいつも せいたかあわだちそう」と、前向きにいきたいものです。(2017.5.29)

日時: 2017年05月29日 16:02

2017年04月24日

「学ぶこと」のありがたさ

 黄水仙 咲く街道の 遊歩道 (加藤哲夫)

春爛漫の季節を迎えています。昔勤めていた山間の学校、作谷沢小中学校では、この時期になると中学生が全員で(全員と言っても1年から3年生まで15人の少人数でしたが)校庭の土手に水仙を植えていました。冬期間は1m50㎝にもなる積雪を記録する土地だけに、生徒たちが植える黄色い花を見ると、ようやくこの地にも春が来たなという何かしらほっとするような思いがしたものです。

007%20%28188x250%29.jpgさて、年を重ねてくると涙腺が弱くなってきます。テレビや新聞の記事にもグッとくることがしばしばです。一月前の朝のニュースを見ていて、またまたグッとくることがありました。
それは、「無戸籍者」を扱ったニュース特集でした。「無戸籍者」とは「戸籍を有しない人」のことです。戸籍のない人がいるということはおぼろげながら知っていましたが、番組を見てその実態を初めて知りました。
生まれた人間については必ず出生届を出して戸籍を作成することになっていますが、何らかの事情によって親がその手続きを怠った場合に無戸籍者が発生するのだそうです。その事情のほとんどが、離婚や怠慢などで親が出生届を提出しなかった場合だそうです。

特集で取り上げていたのは、35歳になる女性でした。両親はいたものの、家計が逼迫して出産費用も払えず出生証明書を病院からもらうことができず、出生届が出されませんでした。
無戸籍のまま小学校にも中学校にも通えず、大人になるまで十分な読み書きもできない状況でした。小さい頃、母親にどうして学校に行けないのか訪ねても、母親は悲しそうな顔をするだけで、その顔を見るたびに悲しくなったそうです。
学歴が全くないために履歴書も提出できず、仕事は居酒屋の皿洗いや倉庫の荷下ろしなどの作業が主でした。
その後、巡り会いがあり結婚、子どもも生まれました。そして、無戸籍者本人は、家庭裁判所の許可を得て就籍(戸籍のない人が新たに戸籍に記載されること)できることを知り、ようやく戸籍を得て無戸籍を解消することができました。

30歳を過ぎてから、「子どもが大きくなったときに宿題とか教えてあげられないと恥ずかしい」と決心し、ようやく中学校に通い始めます。努力の甲斐もあり、この春中学校を卒業することができました。中学校ではマンツーマンによる指導もあって、学ぶことの楽しさを覚えながら勉強することができたそうです。将来、司法書士になることを目指して日々勉強にがんばっているそうです。
卒業式で女性は涙を流しながら、次のように語っていました。
「わたしは無戸籍で小学校も中学校も通えなくて、いろいろなことをあきらめて生きてきたけど、いろんな人に助けられて、今回、中学校を卒業することができて、新しい目標もできてよかったと思う。今後、目標に向かって精いっぱい頑張っていこうと思う。ありがとうございました」

身近ではまったく考えられないことです。長い教員生活の中でも経験がありません。しかし、法務省が把握している無戸籍者は全国で700人を超え、学齢に達している児童生徒は191人、その内、学校に通わなかった期間がある子どもは7人いるそうです。
日本国憲法第26条には「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする」とあります。
昨年、文科省もようやく「小学校等の課程を修了していない者の中学校等入学に関する取扱いについて(通知)」を出して、未就学者への支援を打ち出しました。しかし、現実にはまだ無戸籍者の未就学があります。

006%20%28220x165%29.jpgまた、無戸籍者ではありませんが、沖縄県読谷村の83歳の女性が、この春、中学校を卒業して卒業証書を手にしたことが報じられました。終戦直後に中学校に進学したものの、戦後の仕事不足に加え、高齢の両親に代わって家計を助けるために、14歳から働き始め学校には行くことができなかったそうです。
姪が、県が戦中・戦後の混乱で義務教育が終えられなかった人を対象に実施している「義務教育未修了者支援事業」を知り、中学校に通うことを勧め、79歳で入学、5年をかけて卒業することができたそうです。
女性の言葉、「学院では学生に戻った気分で、同級生同士ライバル心もあった。卒業証書を受け取ったとき、もっと授業があればいいのにと思った」。

お二人の女性の姿からは、学ぶことの喜び、楽しさが伝わってきます。向学心の高さを伺うことができます。
4月の入学式のニュースを見て思うこと。真新しいランドセルを背負い、二度と着ることのないような晴れ着に着飾ること、そのことが一年生になったことではないんだよ。君たちがテレビのインタビューで「○○の勉強にがんばりたい」「お友達と勉強がんばりたい」と答えたこと。そのことを忘れないで、毎日学校に通えること、友達と遊べること、楽しく勉強できることのありがたさを感じて欲しいなと強く思います。学校に通うことが当たり前、勉強するのもしょうがないことと思っている子ども達諸君も、「学ぶこと」の幸せ、ありがたさをもっと感じてくださいね。(2017.4.24)

日時: 2017年04月24日 14:41

2017年03月24日

「いのち」のありがたみ

 春分の 日の余りある 陽の光 (橋本典子)

今年の春分は3月20日でした。すっかり日が長くなり、山形市の日の入りも午後6時近くになりました。外からは春の陽気に促されて、子ども達の元気に遊ぶ声が聞こえてきます。

201703241%20%28220x165%29.jpg今年度も残すところ5日です。まもなく新年度を迎えます。幼稚園や小学校、中学校に入園、入学予定の子ども達にとっては、その日を指折り数えて待っていることと思います。そんな子ども達に、新生活に入る節目として、ぜひ「いのち」の大切さを感じて欲しいなと思い、次の作文を紹介します。新生活を迎える子ども達にはちょっとふさわしくないかもしれませんが、悲しみを乗り越えた「希望」を感じさせてくれます。
この作文は、当社山形教育用品も毎年発行に協力している、山形県教職員組合編集発行の『山形の子ども 第44集』に載っていたものです。ちょうど1月前の2月末に発行されたもので、湯気が出るくらいのできたてです。
白鷹町立鮎貝小学校2年生の大木としや君の「おそうしき」という題名の作品です。

「ぼくの大すきなじいちゃんが、とつぜんなくなりました。おそうしきをする前に、じいちゃんのほねをひろいました。じいちゃんのほねは、くだけていました。もうぼろぼろにこわれていました。ほねを一本人にわたしてから、よこにいどうして、その人からぼくにわたって、はこの中に入れました。じいちゃんのほねを見ていたら、いろいろな思い出がうかんできました。ぼくが五さいのころまでねこをかっていて、じいちゃんがいつもそのねこをだいていたこと。こううんきのうごかし方を教えてくれたこと。畑のたねまきをいっしょにしたこと…。ぼくは、じいちゃんが大すきでした。

 その後、バスでナウエルホールに行き、おそうしきがはじまりました。ぼくは、長い間、ずっとしせいを正してすわっていました。四十九日かかって天国に行くとお母さんに教えてもらいました。『じいちゃん、ぼくのべんきょうやサッカーを天国で見ていてね。』と心の中で言いました。おそうしきがおわり、じいちゃんが旅立ちました。そして、きちゅうほうようをして、のうこつとおねんぶつをしました。それから、なたもちをしてだんばらいをしました。

 ぼくは、じいちゃんがいなくなって、心細くなっています。でも、学校にはちゃんと行こうと思っています。ぼくは、じいちゃんがだいじにしていた畑をもらったので、そこにいつもじいちゃんがいると思っています。」 

※文中にある「なたもち」とは白鷹町に伝わる風習で、納骨後に一升の餅を鉈(なた)で切り、塩をつけて食べる習慣だそうです。

お葬式の作文ですが、淡々とした文章には、決して暗さを感じさせない、むしろ、「これからもがんばっていくぞ」という明るい決意が伝わってくるようです。特に、最後の文には泣かされます。

「いのち」の大切さとよく言われますが、言葉としてはわかっても、なかなか実感できるものではありません。としや君のように身内の者の死や葬儀、あるいは赤ちゃん誕生などの実体験がなければ、本当の理解には結びつかないものです。きっととしや君は、おじいちゃんの骨を拾う行為に命のありがたみ、尊厳さを感じたんだろうと思います。

201703242%20%28220x165%29.jpgしかしながら、としや君のような体験はめったにあるわけではありません。山形県でも、「いのち」や人とのつながりの大切さ、子ども達の感性を育むためのさまざまな取り組みがなされています。
平成21年に(財)山形県教育公務員弘済会が、子ども達にいい本に出会ってもらおうという趣旨で「わくわく♪絵本便」をスタートさせました。山形県教育委員会でも、平成24年度から 「いのちの教育」推進の一環として、生命尊重や生きがい・生き方にかかわる絵本を県内各小中学校、特別支援学校で巡回する「さんさん『いのち』の絵本巡回展」を実施してきました。わたしたち山形教育用品も巡回のお手伝いをさせていただきました。

今、どこの自治体でも「学力向上」が錦の御旗になっています。もちろん、子ども達に文科省が説明している「学力」を確実につけていくことは極めて大事なことです。同時に、命が粗末にされている風潮、陰湿ないじめが後を絶たない現実を考えれば、としや君のような作文や絵本、読み物などの読書教材を活用した「いのちの学び」のいっそうの展開を望みたいところです。(2017.3.24)

日時: 2017年03月24日 15:11

2017年02月27日

長時間労働の改善をめざして

 梅白し まことに白く 新しく (星野立子)

この句のように梅の花が見頃になるのは、ここ山形ではもう少し先のようです。ただ外を見れば、道路脇には雪が残っていますが、このところの暖かさで路面はすっかり乾いています。だいぶ春めいた陽気になってきました。気象台のデータによると、積雪も10㎝。まさに「向春」です。

DSC_0001%20%28220x124%29.jpgさて、ちょっと古いですが年末年始、取引先出版メーカーや取引先金融機関の方々とお話ししていて、共通して話題になるのは従業員の長時間労働についてでした。

1月中旬、塩崎厚生労働大臣による記者会見で、次のような発言がありました。
「三六協定の上限を超える長時間労働をさせていた実態は(昨年末に書類送検された)電通と共通だ」。さらに、男性が上司から残業時間の過少申告を指示されたと訴えていることについて、「上司が法律違反をさせるように自己申告を命じているわけだから言語道断だ。私どもとしては看過できないとして書類送検した」というものです。
これは、三菱電機が元社員の男性に違法な長時間労働をさせたとして、労働基準法違反容疑で書類送検されたことを受けたものです。労働組合との取り決めでは、残業は1か月60時間が上限でしたが、この1か月間は、78時間9分の残業をさせていたということです。ある時は、100時間以上の残業もあったということです。
また、同じ1月には、関西電力の元課長職が過労自殺した問題で、福井労働基準監督署が関西電力の社長を出頭させ、労働時間管理を徹底するよう直接指導したことが明らかになりました。1ヶ月の残業は、200時間に達することもあったそうです。もうこれは異常です。

平成27年12月25日のクリスマスの日、電通の新入社員だった高橋まつりさんが会社の寮から飛び降り自殺しました。24歳でした。これを機に、長時間労働やサービス残業などの過重労働が注目を集め、大きな社会問題になっています。
過重労働は、企業だけの問題ではありません。官公庁や病院、介護施設、学校、すべての業種で大きな問題となっています。

特に、教育現場である学校では何十年も前から、長時間労働や時間外勤務における適正な手当が支給されていないことが常に大きな問題となってきました。
「先生方は毎日忙しくてたいへんだね」という声はよく聞かれます。しかし、その具体的な実態はなかなか理解されていないのが現実ではないでしょうか。
朝日新聞の、これも同じ1月のデジタル誌面に次のような記事がありました。
『小中教諭の7割、週60時間超勤務、医師や製造業上回る』のタイトルで、「週に60時間以上働く小中学校の先生の割合が70~80%に上ることが、全国の公立小中学校の教諭約4,500人を対象にした連合のシンクタンク『連合総研』の調査でわかった。医師や建設業、製造業など他業種より格段に高い割合だ。特に運動部の顧問の先生は出勤が早く、午前7時前に出勤する人が15%いた。文部科学省も学校現場の負担減へ対策に乗り出している」というものです。

DSC_0002%20%28220x124%29.jpg国は教員に対し、「教職調整額」という名称で、一律4%の残業手当を支給しています。手当支給までの経緯は紆余曲折がありました。
文科省の資料によると、昭和23年、給与制度改革を行う際、教員の勤務時間は単純に測定するのは困難であることを踏まえ、教員に対しては超過勤務手当は支給されないこととされました。
しかし、当時の文部省から、超過勤務を命じないとの指示が出されたにもかかわらず超過勤務の実態が多く、多くの都道府県で時間外勤務手当の支給を求める訴訟が出され、「超勤問題」として大きな社会問題となりました。
このような状況を踏まえ、昭和41年、文部省は1年をかけて全国的な教員の勤務状況調査を実施、昭和43年に俸給の月額4%に相当する教職特別手当を支給する法律案が閣議決定され、国会に提出しましたが、結局廃案になってしまいます。
昭和46年、人事院は義務教育諸学校の教員について、その職務と勤務態様の特殊性に基づき、新たに教職調整額を一律支給する制度を設け、超過勤務手当を支給しないことを提言します。
政府は人事院の申し出を踏まえ、「教職調整額の支給等に関する特別措置法(給特法)」案を国会に提出し、同年5月に制定され、昭和47年1月より施行されました。
ようやく教員の残業に対して、具体的な手当がなされたわけです。

問題は支給額「4%」の積算根拠です。これは、前述した昭和41年の文部省が実施した教員の勤務状況調査によるものです。当時の教員の一週間当たりの超過勤務時間が、小学校が1時間20分、中学校が2時間30分、平均すると1時間48分。1ヶ月に換算すると約8時間になります。
これを年間44週(当時)にわたって行われた場合の超過勤務手当に相当する金額が、給与に対して4%に相当するということによるものです。

それでは、今現在の教員の超過勤務実態はどうなのでしょうか。文科省が平成18年に実施した調査結果(ちょっと古いでが、小中学校を対象にした全国的な調査では直近のもの)によると、1ヶ月当たりの超過勤務時間は約35時間です。昭和41年の全国調査時の4.4倍の超過勤務時間です。
手当額は、教職調整額が制定されてから50年以上経った現在も4%のままで支給されています。現実に超過勤務時間が4倍以上になっていながら、手当額は昔のままという、制度と実態との乖離をどう見直していけばいいのでしょうか。

ただ、見直しには課題も指摘されています。
「授業以外は、教員の自発性・創造性を活かした職務であり、上司の命令に従って一定時間働くことで一定の成果が出るというわけではない」
「教員の職務はストップウォッチで計ったような時間計測に基づく評価はなじまない」
「教員の職務は一律支給の調整額という枠組みでとらえきれなくなっているのではないか」
「勤務日1日あたりの平均の残業時間が0分の者もいれば、5時間以上の者もいる」等々。
しかし、安倍首相も昨年10月、教育再生実行会議のあいさつで、部活動のあり方に関して、「学校教育においても教師の長時間労働が顕在化している」との見解を示しています。
厚生労働省では、三六協定での時間外労働規制について、「法改正を検討する必要がある」との有識者会議の報告を受け、「一定期間内の総労働時間の枠を定める」方向で検討に入りました。改善に向けた具体的な動きが出てきています。

gahag-0035876123%5B1%5D%20%28220x147%29.jpg企業経営の言葉に「ES(従業員満足)なくして、CS(顧客満足)なし」という言葉があります。顧客と接する従業員が満足していなければ、顧客に真の満足を与えることはできません。
学校も同じです。子ども達の健やかな成長のためには、先生方の健康と情熱、確かな指導力が不可欠です。なかでも、教育に対する愛情、情熱は教師の魂そのものだと思います。もっと、毎日の授業や子ども達との関わりのために多くの時間をかけることができるようなシステムや制度改革を願うばかりです。

学校現場における先生方の負担軽減、多忙化解消は、これからの日本の教育の未来を考えるうえで、喫緊の課題だと思います。民間企業においても、従業員満足度が高くなければ顧客の満足は得られず、売上げアップは図れないでしょう。
山形教育用品のみなさんも、ライフ・ワーク・バランスを図りながら、メリハリをつけ、仕事に励みましょう。(2017.2.27)

日時: 2017年02月27日 11:07

2017年01月12日

新年明けましておめでとうございます

 初空や 一片の雲 輝きて (日野草城)

この句では「一片」ですが、雲の数え方にもたくさんあり、その形、量、表情によって多くの作家がさまざまに使い分けています。記憶に新しいのは、司馬遼太郎の『坂の上の雲』のあとがきにある「のぼってゆく坂の上の青い天(そら)に もし一朶(いちだ)の白い雲がかがやいているとすれば、それのみをみつめて坂をのぼってゆくであろう」です。「一朶(いちだ)」とはひとかたまりという意味だそうです。2009年から2年間にわたって放映されたNHKドラマにおける俳優渡辺謙によるナレーションは、今も耳に残っています。

300px-Img20050526_0007_at_tannheim_cumulus%5B1%5D%20%28220x165%29.jpg今回も初めから余計な話をしました。あらためて、新年明けましておめでとうございます。本年も冒頭の句のように、澄んだ正月の空に浮かぶ雲が日に当たり輝いているようなすがすがしい一年であって欲しいと願っています。

年明けの5日に、恒例の新春顔合わせ会を全社員70名が一堂にそろい開催しました。あいさつで次のようなことを話しました。

「今年は酉年です。鳥を題材にした本に『鳥のはなし』というものがあります。著者はバードショップの店長さんでインコやオウムを主に扱っています。その中の一編に『素敵な変身』という話があります。こんな内容です。
 バードショップの店先に週に1,2回遊びに来る女の子がいました。中学生になったばかりのその子は『いつ』きたのか、『いつ』帰ったのかわからないような子なのでスタッフからは『いっちゃん』と呼ばれていました。
 『いっちゃん』はいつも、店の中の止まり木に止まっている鳥たちをちょっと離れたところから見ていました。声を掛けても、いっちゃんは顔をこわばらせ、拒むように後ずさってしまいます。誰があいさつしても、はにかみながらすっと視線から逃れるようにその場を離れてしまうことが常でした。話しかけられるのを怖がるような女の子でした。
 いっちゃんが店に出入りするようになって半年ほど過ぎた頃、いっちゃんがお母さんと店にやってきました。『オカメインコという鳥はどれですか? 娘が欲しいと言っているのですが・・・・』さっそく何羽かいるオカメインコの中からどれがいいかたずねると、『この子!』と言わんばかりに一羽のオカメインコを指し示しました。その子をいつも眺めていたので、予想どおりでした。一週間のホームステイのあと、オカメインコは正式にいっちゃんに引き渡されました。
 3ヶ月ほどたったある日、バードショップの店内からかわいい元気な女の子の声が聞こえてきました。『おはよう!』『こんにちは!』『○○ちゃ~ん』店内を見渡すと、いっちゃんがいました。他に誰かいるのかなと見回しても、いっちゃん以外、誰もいません。息を殺して様子をうかがうと、『おはよう!』いっちゃんが鳥にあいさつしていたのです。しかも大きな声で。うれしくなって『こんにちは!』と声を掛けると、『こんにちは。ポーちゃん、元気ですよ。』と、いっちゃんも言葉を返してくれました。引き取ったオカメインコに『ポーちゃん』と名をつけたようです。いっちゃんはとても明るくハキハキと、ポーちゃんとの生活を話してくれました。3ヶ月前のいっちゃんとは別人のようでした。
 それから数日して、お母さんが一人で店を訪ねてきました。お母さんは打ち明けるように話しはじめました。『娘は幼い時から人前じゃまったく話すことができない子でした。それが、ポーちゃんが来てから、人が変わったように急にしゃべるようになったんです。もう、びっくりして・・・・』と。そして、目を潤ませながら『鳥の力って、すごいですね』と言われたのです。鳥が一人の少女の心を開いたという話です。
e55m_0975%5B1%5D%20%28220x147%29.jpg 酉年に当たって、何か幸せな心持ちになる話だと思います。社員のみなさんも本年が幸せな年になるよう願っています。本年も、会社のため、家族のため、そして自分自身のためがんばっていきましょう」

会社を取り巻く環境は年々厳しさを増しています。しかしながら、社員一人ひとりの日々の努力によって業績向上を図り、一年後の12月決算は社員全員が嬉しい顔で迎えたいものです。(2017.1.12)

日時: 2017年01月12日 09:55

2016年12月21日

NHK「ファミリー・ヒストリー」を視て

 年惜しむ 心うれひに 変りけり (高浜虚子)

今年も残り十日あまりとなりました。新しい年、また一つ年をとります。この歳になると、「新年めでたくもあり、めでたくもなし」の心境になってきます。

さて、今冬は雪が多いという話をよく聞きます。「カマキリが自分の背丈ほどのところに卵を産んだ」「今年はカメムシをたくさん見かける」などなど、どれも積雪が多くなるという言い伝えです。
IMG_2246%20%28220x165%29.jpg東京にお住まいのメーカーの方が、「山形は雪が多いでしょう」という話をよくされます。確かに雪国ですから雪は多く降ります。ここ30年間の山形市の平均最大積雪は2月の45cmです。雪が積もらない土地にお住まいの方からすれば大雪かもしれません。しかし、東京でも一昨年の平成26年2月に27cmの積雪を観測しています。結構な量です。雪深いイメージは、毎日の天気とも関係するのかなと思います。山形の1、2月はほとんど雪空か曇り空です。東京はからっとした快晴の日が続きます。日照時間が違うのです。昔の「表日本」「裏日本」のイメージが強いのかなと感じる年の瀬です。

NHKに「ファミリー・ヒストリー」という番組があります。いわゆる有名人の系譜をたどるものです。毎回、よくそこまで調べ上げたなと感心して見ています。
先月初めは、30年前はトップアイドル、今は大河ドラマ「真田丸」にも出演されている女優の斉藤由貴さんを取り上げたものでした。斉藤さんも御年50歳、3人のお子さんの母親だそうです。
番組の中でグッと胸を締め付けられたのは、由貴さんの父親勉さんの壮絶な人生を告白した場面でした。
勉さんが6歳の時、両親が離婚し、父親に引き取られる。小学校5年生の時、父親(由貴さんにとっては祖父)は再婚し福島に暮らすようになったが、再婚相手は大酒飲みだった夫に愛想をつかし出ていってしまう。父親はその妻を追いかけ、出て行った仙台の妻のところに行こうとする。勉は「いっしょに連れてってくれ」とせがむが、一人分の汽車賃しかないからダメだと断られる。一人だけで福島から仙台に汽車で行ってしまう。どうしようもない勉は、線路を一人歩いて福島から仙台にたどり着き、父親に泊めてくれと願うが、二番目の母親にも反対され断られる。仕方なく、同じ仙台に住んでいた本当の母親の家に行って泊めてくれと頼む。いったんは勉を抱きしめ事情を聞いた母親は、別れた夫を怒らせてはいけないと思ったのか泊めることはできない、と一度は断る。引き返す勉を姉が追いかけ連れ帰り、一晩だけ泊めるという壮絶な話です。
IMG_2244%20%28220x165%29.jpg一視聴者であるわたしは、この時点で父親への怒り心頭に発し、「自分の子どもじゃないか!」と心の中で叫んでしまいます。福島、仙台間は距離にすると80kmもあります。こんなドラマのような話が本当にあるのかと、あきれかえってもしまいます。今の時代も「子どもの虐待」が大きく取り上げられますが、きっと昔も斉藤さんの父親のような話が普通にあったんだろうなと思うと悲しくなりました。
よく虐待やいじめは、「連鎖」すると言われます。負の連鎖は断ち切らないといけません。すべての子ども達を抱きしめることはできませんが、せめて自分のお子さんにはしっかりと愛情を注ぎたいものです。

公共広告機構ACジャパンの2003年度のCM作品に「『抱きしめる、という会話。』-母親編-」というものがあります。数あるACのCMの中でも珠玉の一点、大好きな作品の一つです。次のような言葉で語られます。

子どもの頃に
抱きしめられた記憶は、
ひとのこころの、奥のほうの、
大切な場所にずっと残っていく。

そうして、その記憶は、
優しさや思いやりの大切さを教えてくれたり、
ひとりぼっちじゃないんだって思わせてくれたり、
そこから先は行っちゃいけないよって止めてくれたり、
死んじゃいたいくらい切ないときに支えてくれたりする。

子どもをもっと抱きしめてあげてください。
ちっちゃなこころは、いつも手をのばしています。

みなさんには、小さい時に親や兄弟から抱きしめられた経験はないでしょうか。わたしにも母親から叱られた末に抱きしめられた記憶がかすかにあります。小さい時の実体験は、その子の心の成長に大きく影響します。声を張り上げて怒るより、しっかり抱きしめて諭すことが大事ではないかと思います。それが子どもの健やかな成長を促します。

今回のブログも気が重くなるような内容でした。来年は明るい話題を提供したいと思います。それでは、よいお年をお迎えください。(2016.12.21)

※「ACジャパン」のCMは、画質はよくないですが「You Tube」でも視聴できます。

日時: 2016年12月21日 11:18

2016年11月25日

「毛涯章平随想集」を読んで

 初雪や 水仙の葉の たはむまで (松尾芭蕉)

季節は巡り、ここ山形の地も冬を迎える頃となりました。一月前の10月下旬は季節外れの暖かさで、最高気温24.3℃を記録しました。9月下旬から10月上旬頃の陽気です。ところが、11月に入って天気は安定せず、9日には、山形市内でも初雪を観測しました。昨年よりも3週間近く早いです。昨日は、東京では観測史上初の11月中の積雪を観測しています。全国的に寒い日が続いたり、暖かい日が続いたりと、まさに三寒四温の日和です。

DSC_0001%20%28220x126%29.jpg10月末に、全日本地方教育出版協議会の仲間である信州教育出版社から「毛涯章平(けがいしょうへい)随想集」の寄贈がありました。先生は、長野県では知らない人はいないくらいご高名の方でいらっしゃるそうですが、恥ずかしながらこれまで存じ上げない方でした。しかし、随想集のはしがきに掲載されている「わが教師十戒」は広く教育界に知られている至言です。

三部作になる随想はどれも心に響く名文ばかりです。その中の一つ「日本男児のつめ」を読んで、思い出したことが二つあります。「日本男児のつめ」は、おおよそ次のような内容です。    
「自分の人差し指のつめは、真ん中を縦に盛り上がったひだが通っていて、先がわれやすい。時には深く割れて痛くなる。それは、少年の頃、家で飼っていたウサギのえさであるクズの葉を刈っていたとき、誤って指先を傷つけてしまったことによるものである。手当てをしてくれた母からは『大丈夫、日本男児だもの』と、繰り返し励まされ、自分も『日本男児だもの、痛いもんか』と言い聞かせた」というものです。
毛涯先生のように、『日本男児だもの、痛いもんか』という高尚な思いには到底なれませんが、昔、同じような体験をしたことを二つ思い出しました。

一つは、思い出したというより、忘れられない痛い思い出です。中学校3年生の技術の学習で木工加工の制作をしていた時のことです。誤って左人差し指を旋盤の回転する刃の中に入れて、指先を欠損するけがを負いました。噴き出す血と鋭い痛みで呆然としていたとき、技術の担当の教師からは「大丈夫か」の前に、「あれほど注意したのに、何やってんだ」と怒られました。保健室で応急措置をしてもらった後、近くの医者で手当てを受け学校に戻ると、担任の教師から「おまえは落ち着きないから、こういうことになるんだ」と、また叱られました。けがをした指先はずきんすきんと激しく痛むうえに、怒られっぱなしで、まさに踏んだり蹴ったりです。唯一、クラスの友達が「大丈夫か」と心配してくれました。
今でも左の指は右より5㎜ぐらい短いです。指の腹が欠損したので、音楽の時間、ピアノ伴奏をする時はつめで鍵盤をたたいていたものです。
毛涯先生のように、「日本男児だもの、痛いもんか」と、高尚な思いよりも先に、素直に「痛い!」という激痛と、「人が痛がってるのに、なんで怒られるんだ」という悔しさのような感情が入り交じっていたことが思い起こされます。

DSC_0003%20%28220x124%29.jpgそういう自分も担任をしていた時、同じような出来事がありました。二つめの思い出です。
小学校5年生の担任として少年自然の家に二泊三日の自然体験学習を引率した時のことです。閉所式も済み、帰りのバスが来るまで遊具で遊んでいたOという男の子が、遊具から転げ落ち手首をひねってしまいました。わずかな高さでしたが、手の付け所が悪かったのか、手首の骨折でした。痛がっている子どもへの言葉が、「どうした、O」の後の「あれほど注意しろと言ったのに、何やってんだ」でした。まさに、自分が中学生の時に先生から掛けられた言葉そのものです。
今思うと、恥ずかしい限りです。たぶん、学年主任として120人の子ども達を無事けがなく帰校させることができるという安堵感が、一瞬に吹き飛んでしまったことのへ悔しさのようなものがあったと思います。しかし、教師という立場、担任としての立場から考えれば失格です。「Oには悪いことをしてしまったな」。今でも悔やまれてなりません。Oはその後、同級会で会った時、けがをした時の話を笑いながら語ってくれましたが、自責の念に駆られるばかりでした。

自分の教員生活をふり返ると、後悔ばかりです。指先も心もちょっぴり痛みを感じながら、いただいた本を読んだところです。(2016.11.25)

日時: 2016年11月25日 10:33

2016年10月25日

初めての海外の旅

 霜降や 朝しらしらと 繭の色(小坂文之)

なかなかいい句ですね。白銀(しろがね)に輝く霜を繭に見立てているところが素敵です。暦のうえでは霜降を迎えました。山間部では紅葉が山々を飾り、めっきり寒さも増してきました。月山は今日、初冠雪です。

さて、今月中旬に教育ウチダ会の海外研修視察でバルト3国エストニアのタリンとロシアのサンクトペテルブルグに行ってきました。海外旅行はまったく初めてです。片言の英語も話せないし、パスポートや入国ビザ等の手続きも煩わしく、専務に誰か代わりに行って欲しいとお願いしたのですが、ぜひ行けということなので意を決して四泊六日の視察に参加してきました。
結論から言うと、とてもすばらしい経験をさせていただきました。アジアの国々では感じることができない、異国情緒あふれるヨーロッパの文化と生活に触れることができ何もかもが新鮮でした。

初めての海外の印象をいくつか紹介します。
IMG_2080%20%28220x193%29.jpg一つは、入国、出国、搭乗手続きが厳しいことです。日本は島国なので、陸続きに他の国との出入りすることはありません。国境を超えるという経験はとても新鮮でした。エストニアからロシアにバスで移動する際、国境の町ナルヴァで出国と入国の審査を受けました。じっくりパスポートの写真を見られ、審査を受けることはあまり気持ちのいいことではありません。特に、ロシアの女性審査官の厳しく無表情な顔は印象的でした。
搭乗手続きも大変です。昨今のテロの多発もあり、極めて厳しいです。ベルトを外し、靴も脱がなくてはいけない所もありました。
その際、最低英語が理解できないと大変です。ほとんど英語が話せないわたしのような日本人は四苦八苦です。国が陸続きになっている向こうの人は、母国語の他に最低一つ、さらにもう一つの外国語が話せます。これまで必要感を感じてこなかった自分の語学力の乏しさを恥じ、やはりグローバルな社会で生きていくためには、外国語教育の必要性をあらためて感じたところです。

二つめは、エストニアのギムナジウムを訪問して感じたことです。ギムナジウムとはヨーロッパの中高一貫学校のことですが、訪問したPelgulinna Gymnasiumは小中高一貫学校です。あどけない小学一年生から半分大人のような高校生まで在籍しています。
IMG_2093%20%28220x165%29.jpgエストニアは人口130万人の小国ですが、国の未来をIT先進国として位置づけています。そのため、小学一年生からIT教育が盛んに行われています。算数や社会はもちろん、楽しそうにミニロボットを使って文字を書き、絵を描いている場面には驚きました。
しかし、先進的なIT教育だけでなく、芸術や民族意識を高める教育にも熱心に取り組んでいる姿勢にはとても感心しました。
印象的だったのは、子ども達の表情の豊かさです。どの子どもも素直で明るく優しそうな表情をしていました。日本では今、子ども達の心の問題が大きな課題です。朝から怒号と喧噪が入り交じるような教室もありますが、訪問した学校は落ち着いた雰囲気の中で熱心に学習に取り組んでいました。
小学生は男の子と女の子、男の子、女の子同士が自然に手をつないで移動している光景も印象に残りました。そこには、人と人がつながり合うことを大切に思う社会的な基盤があるような気がしました。

三つめは、訪問した3つの国、エストニア、ロシア、フィンランドすべてに共通することです。それは、家族を大切にしているということです。どの場所でも、子どもを大声で怒るような場面を見ることはありませんでした。常に静かに諭し、時にはしっかりと抱きしめ親としての愛情を示している場面ばかりでした。楽しそうに会話をしながらいっしょに食事をする、親子連れだってショッピングをする。そのような光景はうらやましく思えました。
IMG_2128%20%28220x165%29.jpg日本の家族は子どもが幼い頃は濃密過ぎます。小学校高学年の頃からは親は親、子は子の親子分離形態になります。家族関係は希薄になっていきます。訪れた国の家族関係は濃密過ぎず、希薄にならず、ある意味フラットです。幼い頃から、人として、家族として、社会人としてしっかり扱われている思いがします。たぶんそれは二つめの印象の社会的な基盤につながっているような気がします。
ふだん生活の中で当たり前のように自分の感情を豊かに表現する欧米人と、感情を表に表さず常に論理的な割に、いったん事があると感情を爆発させる日本人の違いを感じた気がします。

今回の視察旅行では、タリンとサンクトペテルブルグの二つの世界遺産のすばらしさもさることながら、民族性や国の社会の構造や形態の違いを感じることができました。思い出に残る経験と体験をさせていただきました。
あらためて、教育ウチダ会の皆さまに感謝を申し上げます。ありがとうございました。

追記
社員のみなさん、写真を「全社共有」にアップしておきますので、よかったらご覧ください。(2016.10.25)

日時: 2016年10月25日 13:57

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