社長ブログ

ショウジョバカマとハナゾロ

2008.03.31

3月17日のブログに、ショウジョウバカマの写真を載せました。日曜日、とあるところで、白花のショウジョウバカマを売っていましたので買ってきました。純白の美しい花で、これはこれで気品があるなあと思いました。
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ショウジョウバカマは、「猩々袴」と書きます。「猩々」は、中国の伝説上の動物で、人のように言葉を話し、赤い顔をした人間のようで、とても酒が好きだといわれています。花を、その赤い顔に見立て、葉の重なり具合が袴で、「猩々袴」と名付けられました。私と似ているところがあります。
植物の名付けには、ほんとうに優雅なものがあります。ショウジョウバカマと同じ頃、カタクリが咲き出します。このカタクリは、その昔、カタカゴと呼ばれていました。大伴家持の有名な歌に、「もののふの 八十娘子ら(やそおとめら)が 汲みまがふ 寺井の上の かたかごの花」があります。
「もののふ」は「八十」の枕詞で「たくさんの」の意味。大勢の娘たちが水をくんでいる、その井戸ばたに咲いているかたかごの花がなんと美しいことか、という歌。「かたかご」は花の様子を籠に見立て、それが傾いていることから「片籠」と名付けたといわれています。
ちょっと傾けたかごみたい、なんて、ほんとうにすてきな名前です。私たちのご先祖様の感性にうれしくなります。同じように、「ショウジョウバカマ」も、あの花の様子を、見たことはないのだけれど(想像上の動物だから)、こんな感じに違いないと、「猩々袴」と名付けたご先祖様に、まさに乾杯です。
ところが、買ってきた白花のショウジョウバカマには、なんと、「白花少女袴」と名札が付いていたのでした。「う~ん」と思わずうなってしまって、「そうなんだ、こうやって、植物の名前って、変わっていくんだなあ」と感心したのでした。
ずうっと昔、技能技師さんが入学式の飾り花にするといって、たくさんの桜と「ハナゾロ」の枝を校庭から切ってきて水につけ、花を咲かせました。それは見事な飾り花でした。まだ枝だけの「ハナゾロ」がなんの花なのか、私には全く分かりませんでした。見事に咲いたその花は、「ハナズオウ」でした。
「ハナズオウ」を聞き誤って「ハナゾロ」となり、それが広まってしまったのでしょう。でも、あの花の付き方は「ハナゾロ」です。その昔、その花の色が「蘇芳(すおう)に似ていることから名付けられたのですが、「蘇芳」があまり使われなくなった今では、「ハナゾロ」もいいかな、と思ったものでした。
「白花少女袴」も、見れば見るほど、少女のような愛らしい、そして清らかな気品をたたえていて、いい名前だなあと思ってしまいます。
これからは、白花に限り、「少女袴」ということにしません? 赤花は、これまでどおり、「猩々袴」ということで。

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