社長ブログ

イネの花

2008.06.06

きのう、6月5日は「芒種(ぼうしゅ)」でした。二十四節気のなかでもあまりメジャーでないものの一つです。「芒種」の「芒」は、ボウ、ノギ、ススキなどと読むそうです。「ノギ」はイネ科の植物の花の外側の殻の先端についているとげのことで、そのとげがある植物、つまりイネ科の植物を総称する言葉だということです。
「芒種」の「種」は文字通り「たね」であり、「芒種」は「イネ科植物の種をまく頃」の意味だそうです。二十四節気は中国から伝わってきたものですから、言葉と季節が合わないものがあります。中国では、昔、この時期にイネの種まきや田植えをしたのでしょうか。
またまた昔話ですみませんが、私が教員採用試験を受けたときのことです。当時は教員採用の超氷河期といいましょうか、凍りつくような寒いころで、採用はないのではないかとさえ言われていました。かなり多くの仲間が、東京都、神奈川県、千葉県、横浜市などの教員になりました。
なんとその山形県の採用試験に、私は合格したのでした。運がよかったとしか言いようがありませんが、それでも、わたしは勉強したのです。家にいては勉強できないと、いとこの家に泊まり込み、そこで勉強しました。一般教養、教職教養、教科教育・・・、参考書をもとにがんばりました、1週間。
ところが、試験当日。なんと「イネの花をかけ」という問題が出たのです。そんなの見たことも聞いたこともない、いくら思い出そうとがんばっても、何も出てきません。仕方がないので、花びらを4枚、おしべ数本とめしべを描いて出しました。家に帰って調べてみてびっくり。
イネの花は、穎(えい)という2枚の殻のようなものが割れて、中からおしべが出てくるだけで、別にきれいな花が咲くわけではないのです。しかも、夏のある日、10時頃、1時間だけ穎が開くのだそうです。そんなもの、見たことがないのは当たり前だ、花じゃないじゃないか、そんな問題、などといくらぼやいても後の祭り。
イネの花が描けないと教員になれないのはおかしいと八つ当たりをしながら、小学校の入学テストを思い出しました。小学校の入学テストに「金魚の絵を描きなさい」という問題が出ました。迷わず普通の尾びれの魚を描いて、落ちました。もっとも、その年に学級増があり、追加で合格できたのです。だから、イネの花は描けなかったけれど、きっと、追加合格でだいじょうぶと、たかをくくった私でありました。
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ここ十数年、山形県の教員採用は厳しいものがありました。児童生徒数の減少と、退職者数が少ないことから、採用数はとても少なかったのです。また、教員の不祥事があったりして、採用試験の在り方が繰り返し改善されました。筆記試験も改善され、作文が科せられたり、面接、実技も取り入れられるようになりました。
そういう中で見事採用となる方々は、本当に優秀なのです。イネの花なんか、当然描けるのです。今年は少し広き門のようです。作文も面接も、実技もクリアした優秀な人材がたくさん採用されることは大変うれしいことです。
採用試験まで、あと1ヶ月と少し。ファイト!

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