社長ブログ

つや姫はおいしいです

2014.08.29

田んぼの稲穂が少しずつ黄色くなってきました。田植え後の水に浮かぶ葉の若々しい緑。出穂期の逞しく濃い緑。そしてこれから広がる黄金色。どの時期も、田んぼの稲は心に豊かさを与えてくれます。
先日、農業を営んでいる義弟と話しながら、自分のまだまだ貧しい心が恥ずかしくなりました。その理由はこうです……。
5月に島根県に出かけた折、心に引っかかったことがありました。ホテルの朝食会場に、『ごはんは、島根県産の“つや姫”です。おいしいです』との説明書き。喉の奥で声が出ました。「おいおい、それはないでしょう。つや姫は山形の米ですよ。山形で開発した品種ですよ!」と。食べながら、「本物のつや姫は、もっと美味いんだよ」と必然的に思いました。なにせ、偽ブランド品が出回っている時代ですから。
それから数ヶ月間引きずりました。しかし…。島根県の方お許しください。義弟の話を聞いて初めて知りました。島根県さんが、わざわざ“つや姫”を栽培し、世に広めてくださっていることを。平成24年から厳重な条件管理をしながら栽培を始め、今年度は山形県のように、つや姫マイスター制度をも取り入れていらっしゃることを。山形県としてもつや姫ブランドを全国に広めようとしており、栽培してくださる所が徐々に増えてきていることを。
つや姫が世に出る前から今に至るまで、最上級の米として山形県でも栽培されているコシヒカリ。“山形産コシヒカリ”として全国に販売されています。でも今回知りました。越前越後、つまり福井県や新潟県で開発された品種なんだそうですね。越(コシ)の国で作られた光り(ヒカリ)輝く米。とても美味しいので、多くの県で力を入れて改良し、より喜ばれるコシヒカリ作りをしている。でも、やっぱり本場物、魚沼産にはどうしてもかなわないそうですね。
078%20%28240x177%29.jpg山形県では、綿密な販売戦略を練り、つや姫のブランド化を推進している真っ最中。他県を良きライバルとして、より美味しくより安全なつや姫を作ろうとしている。そのために、他県でも大いにつや姫栽培をして欲しいのだ。そして、やっぱり本場の山形県のつや姫が一番おいしい、と言われるようにすればいいのだ。そのように義弟は語るのでした。
美味しい話や得することは、自分とその周りだけにとどめておいて、利益を独占しよう、などという姑息な思いが、私を蝕んでいたのでしょうか。狭い了見です。良きライバルとしての仲間を増やし、共益を追求することによって、私の益をも増やすことができる。そう考えようとしながらも、なかなかそれに徹することができない、悟りきれない自分がいます。(平26.8.29)
 

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