子どもの作文に感動
2016.05.23
るるるるるるるるるるるるるるるるるるるる (草野心平)
暦の上では「小満」を迎えました。陽気がよくなり、草木などの生物が次第に生長して生い茂るという意味だそうです。自然界に存在するあらゆるものが満ち、陽気も良く、草木が成長し緑が濃くなり、また様々な花を咲かせます。動物達も活発に動き始める頃です。冒頭の詩のように、蛙の鳴き声にもうれしさを感じる季節です。
二月に山形県教職員組合教育文化部で発刊し、わが社でも発行協力している『山形の子ども43』を拝見しました。小学校一年生から中学校三年生までの作文と詩、版画が127点載っています。
その中の一つ、寒河江市立寒河江中部小学校二年の横尾健太君の作品「六時間のふあんなたび」を読んで、心がほっと温かくなりました。
寒河江から秋田のおばあちゃんに会いに、お母さんと妹、弟の4人で旅をした時の作品です。五月の連休の一コマのような光景です。終わりの部分だけ紹介します。
「やっと秋田えきについたと思ったら、またのりかえです。弟をおんぶしてまた電車にのりました。弟と、妹は、つかれたのかしずかでした。
八ろうがたえきには秋田のばあちゃんが手をふってまっていました。それを見て、ぼくはなみだが出そうでした。お母さんが
『健太がいたから、ここまで来れたよ。ありがとう。』
と、言いました。
こうして、六時間のふあんなたびはおわったのです。」
「なみだが出そうになる気持ち」、とてもよくわかります。「不安」が「自信」へと変容した心の成長を感じます。また、お母さんが健太君に掛ける言葉にもねぎらいといたわり、そして何よりもわが子の成長に対する喜びが感じられます。
子どもが成長する時、きっかけ、それは何と言っても「体験」です。人は生活の中での体験と科学的・法則的にとらえた概念とをキャッチボールしながら新しい認識を獲得していくのだそうです。子どもの学びの過程で体験がしめる位置は極めて大きいわけです。
しかも、自分の身体を通して実際に関わっていく「直接体験」が、テレビや写真、インターネットによる「間接体験」や「疑似体験」に比べ、子どもの学びに大きな役割を果たしているとされます。
スマホやネットゲームが氾濫する時代だからこそ、健太君のように心が一段成長するようなさまざまな価値ある直接体験をさせたいものです。
そして、子どもの成長を促すものは、周りの人の励ましやねぎらいの温かい言葉がけです。「○○しなくちゃ、だめだよ」というネガティブな声がけはモチベーションを下げるのに対し、「○○するためには、○○することが大切だ。だからがんばらなきゃ」という声がけはモチベーションを高め、ポジティブな結果に結びつくという実験結果もあります。
わが子のみならず、同僚や部下にも温かい励ましの言葉をかけるゆとりを持ちたいものです。
会社では、「山形県学校図書展示会」が県内5会場で開催され、多くの担当の先生方、司書の皆様においでいただきました。それぞれの学校の読書教育、図書館経営のお手伝いができればという願いで、出版社のご協力も得て、社員一同、早朝から夜遅くまで一生懸命務めさせてもらいました。
これからも、たくさんの子ども達に良書を紹介、提供させていただきたいと思います。
5月12日には、琴城流大正琴山形県愛好会主催による「家元研修会」を開催しました。愛好会のリーダーとして活躍なさっている48名の会員の皆様が、鈴木琴城家元から直々にご指導をいただきました。10月に開催予定の「第30回記念山形県大会」に向け、元気いっぱいの練習会となりました。(2016.5.23)