社長ブログ

新年明けましておめでとうございます

2017.01.12

 初空や 一片の雲 輝きて (日野草城)
この句では「一片」ですが、雲の数え方にもたくさんあり、その形、量、表情によって多くの作家がさまざまに使い分けています。記憶に新しいのは、司馬遼太郎の『坂の上の雲』のあとがきにある「のぼってゆく坂の上の青い天(そら)に もし一朶(いちだ)の白い雲がかがやいているとすれば、それのみをみつめて坂をのぼってゆくであろう」です。「一朶(いちだ)」とはひとかたまりという意味だそうです。2009年から2年間にわたって放映されたNHKドラマにおける俳優渡辺謙によるナレーションは、今も耳に残っています。
300px-Img20050526_0007_at_tannheim_cumulus%5B1%5D%20%28220x165%29.jpg今回も初めから余計な話をしました。あらためて、新年明けましておめでとうございます。本年も冒頭の句のように、澄んだ正月の空に浮かぶ雲が日に当たり輝いているようなすがすがしい一年であって欲しいと願っています。
年明けの5日に、恒例の新春顔合わせ会を全社員70名が一堂にそろい開催しました。あいさつで次のようなことを話しました。
「今年は酉年です。鳥を題材にした本に『鳥のはなし』というものがあります。著者はバードショップの店長さんでインコやオウムを主に扱っています。その中の一編に『素敵な変身』という話があります。こんな内容です。
 バードショップの店先に週に1,2回遊びに来る女の子がいました。中学生になったばかりのその子は『いつ』きたのか、『いつ』帰ったのかわからないような子なのでスタッフからは『いっちゃん』と呼ばれていました。
 『いっちゃん』はいつも、店の中の止まり木に止まっている鳥たちをちょっと離れたところから見ていました。声を掛けても、いっちゃんは顔をこわばらせ、拒むように後ずさってしまいます。誰があいさつしても、はにかみながらすっと視線から逃れるようにその場を離れてしまうことが常でした。話しかけられるのを怖がるような女の子でした。
 いっちゃんが店に出入りするようになって半年ほど過ぎた頃、いっちゃんがお母さんと店にやってきました。『オカメインコという鳥はどれですか? 娘が欲しいと言っているのですが・・・・』さっそく何羽かいるオカメインコの中からどれがいいかたずねると、『この子!』と言わんばかりに一羽のオカメインコを指し示しました。その子をいつも眺めていたので、予想どおりでした。一週間のホームステイのあと、オカメインコは正式にいっちゃんに引き渡されました。
 3ヶ月ほどたったある日、バードショップの店内からかわいい元気な女の子の声が聞こえてきました。『おはよう!』『こんにちは!』『○○ちゃ~ん』店内を見渡すと、いっちゃんがいました。他に誰かいるのかなと見回しても、いっちゃん以外、誰もいません。息を殺して様子をうかがうと、『おはよう!』いっちゃんが鳥にあいさつしていたのです。しかも大きな声で。うれしくなって『こんにちは!』と声を掛けると、『こんにちは。ポーちゃん、元気ですよ。』と、いっちゃんも言葉を返してくれました。引き取ったオカメインコに『ポーちゃん』と名をつけたようです。いっちゃんはとても明るくハキハキと、ポーちゃんとの生活を話してくれました。3ヶ月前のいっちゃんとは別人のようでした。
 それから数日して、お母さんが一人で店を訪ねてきました。お母さんは打ち明けるように話しはじめました。『娘は幼い時から人前じゃまったく話すことができない子でした。それが、ポーちゃんが来てから、人が変わったように急にしゃべるようになったんです。もう、びっくりして・・・・』と。そして、目を潤ませながら『鳥の力って、すごいですね』と言われたのです。鳥が一人の少女の心を開いたという話です。
e55m_0975%5B1%5D%20%28220x147%29.jpg 酉年に当たって、何か幸せな心持ちになる話だと思います。社員のみなさんも本年が幸せな年になるよう願っています。本年も、会社のため、家族のため、そして自分自身のためがんばっていきましょう」
会社を取り巻く環境は年々厳しさを増しています。しかしながら、社員一人ひとりの日々の努力によって業績向上を図り、一年後の12月決算は社員全員が嬉しい顔で迎えたいものです。(2017.1.12)

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