入学シーズン ランドセルも制服も高いですね
2018.03.28
ランドセル 小さくなりて 卒業す (佐藤淑子)
そろそろ入学シーズンです。それを待っていたかのように、陽気も日に日によくなってきました。昼の気温は20℃を超える暖かさです。平年以上に積もった雪も、すっかり消えました。3月なのに春爛漫という感じです。
県内の小中学校の卒業式も終了しました。県内の今年の卒業生、小学6年生は9,000人、中学3年生は10,000人です。10年前と比べると、小学校、中学校ともに約6,500人も減っています。表題の俳句のランドセルではありませんが、制服メーカーやランドセル、カバンのメーカーにとっては、われわれ教材販売会社と同様、このような少子化は極めて大きなマイナス要因だろうと思います。新入生用品販売メーカーも経営を維持するためには一人当たりの単価を高くしないと成り立っていかないのではないかと思います。
やっぱりというか、制服やランドセルの価格が極めて高い。びっくりする値段です。公立中学校の制服の全国平均価格は5万円前後。ランドセルの平均購入価格も4万円台が主流だそうで、高級なものは10万円近くします。大量生産品ではないので、コストダウンができないそうです。このほかにも入学時には何かと経費がかかります。保護者の皆さんにとっては、この時期、うれしいやら悩ましいやらの心境でしょう。
文科省は隔年で「子供の学習費調査」を実施しています。昨年末、平成28年度の調査結果が公表されました。それによると、保護者が支出した、1年間の子供一人当たりの経費(学校教育費、学校給食費、学校外活動費)平均額は、公立小学校で322,000円、公立中学校で479,000円という結果でした。このうち学校教育費は、小学校が60,000円、中学校が134,000円です。さらに図書、学用品、実習材料等の経費は、小学校で19,000円、中学校で23,800円でした。この調査には、通学費として制服やランドセル、カバンの購入費も入っています。この調査は悉皆ではなく抽出調査なので学校や地域によっては大きな開きはあるでしょうが、この額は保護者の立場からすれば結構な金額になります。
2月初め、銀座にある泰明小学校のアルマーニ標準服問題が世間を騒がせました。「標準服」という言葉も初めて聞きました。地方の人間にとっては、小学校の通学服なんか自由だろうと思っていました。それにも増して思ったことは、高額な制服、ランドセルにお金をかけるよりも、日常の、読書活動における図書や学習で使用する各種教材、特色ある学校、学年経営に使用するものに、もっとお金をかけたほうがいいんじゃないのかなということです。
この問題を受けて、文科省は3月19日付で「学校における通学用服等の学用品等の適正な取扱いについて」という通知を出しました。その中で「教育委員会は、保護者等ができる限り安価で良質な学用品等を購入できるよう,所管の学校における取組を促す」よう求めています。
学校にとって、保護者の教育費負担軽減は至上命題だと思います。教育委員会からの指導もこれまで以上にあることでしょう。しかし、単に何%カットとか、とにかく安いものという論理では、本当の意味での子ども達の教育力向上にはつながらないと思います。教材販売会社の立場から言えば、子ども達に与えるものは、単に安いだけの「安かろう、悪かろう」の教材でなく、それぞれの学校の子ども達にとって適切な教材、価値ある教材を選定し、使用させていくことが、一人ひとりにしっかりとした学力をつけていくことにつながると思います。文科省も通知の中で「良質な学用品」をと言っています。大事なことは価格だけでなく、質なのです。
学校では、4月の予算組みの時に「前年度と同様」と簡単に決めてしまいがちですが、自分の学校や学年の子ども達の教育力向上のために、どこに、どのように、どのくらい金をかけるかしっかりと議論すべきではないのかなと思います。(2018.3.28)