一歩一歩、坂道を登るように
2020.02.20
梅二月 ひかりは風と ともにあり (西島麦南)
季節は「雨水」です。暖冬と言われた今冬は、毎日「雨水」のような天気が続きました。これほど雪が少なかった年は記憶にありません。今年の冬はよかったなと思う人も多い反面、雪で商売をされている人、スキー教室を楽しみにしていた子ども達にとっては、とても残念な冬だったかもしれません。
県教育長を務められた木村宰先生が、「適度なストレスが大切だ」と話されたことを記憶していますが、気候でも人間関係であっても、何事も適度なことが大事だなと思います。
本社の前に、東西に走る道路があります。この道路、ちょっと傾斜して坂になっています。「雨水」ではありませんが、雨が降ると東から西に雨水が川のように流れます。
昔の話になりますが、校長会の会誌に同期のT校長が「山形市は坂が多い」という、なかなか目のつけどころがおもしろい文章を載せていました。
確かに山形市は坂が多い町です。それは当然で、山形市は典型的な扇状地の上に発展した町だからです。扇頂部の山形蔵王インターチェンジ付近は標高は226メートル、扇端部の南沼原小学校の標高は116メートルです。扇頂部と扇端部の標高差はおよそ110メートルにもなります。霞城セントラルの高さが114メートルですから、扇頂と扇端では超高層ビルほどの差があるわけです。
高校時代、自宅がある扇端部から扇頂部にある学校まで、必死で自転車をこいで通ったことを思い出します。
「人生は坂と同じ」と言われます。会社の業績も坂と同じです。上り坂もあれば下り坂もあります。
第64期の決算がまとまりました。きわめて厳しい営業環境ではありましたが、きちんと黒字決算が出されたことは本当にうれしいことです。これも、営業担当のみならず、全役員、社員がそれぞれの立場で職責を果たしてくれたお陰だと感謝の念でいっぱいです。
今期第65期も、会社を取り巻く環境は児童生徒数の減少や小中学校の閉校など、厳しい状況に変わりはありません。しかし、チャンスも多い年だとも言えます。
小学校新学習指導要領の完全実施、同じく小学校新教科書の使用開始、文科省のGIGAスクール構想の整備開始、さらには県内小中高校の設計・改築等々、教育変革の年とも言えます。
そのような教育界の「流行」の部分を見逃さずにチャンスとして生かし、新学期テスト類の教材販売や図書展示会による学校図書販売など、「不易」の部分の強化を図っていくことが今期の重要な課題かなと思います。
山形教育用品は子ども達や先生、学校や教育委員会のニーズにしっかりと応えることができる力を十分に持ち合わせています。下り坂の時はじっと耐え、これまでの戦略を見直し、上り坂の時はおごらず、さらに先を見据える。これからも扇状地の扇端部から扇頂部まで坂を登るように、一歩一歩、たゆむことなく着実に、確実に、歩みを進める会社でありたいと思います。
ただし、大沼デパートのように、人生3つ目の坂と言われる「まさか」とだけはならないよう、くれぐれも心してかからなければ゛…。(2020.2.20)