社長ブログ

備えあれば憂いなし?  ~ 防災週間に思う日常のあり方 ~

2024.09.03

 今年も防災の日がやってきました。
 防災啓発デイとしての9月1日。日本ではこの日を含む一週間が「防災週間」として位置づけられています。これは、1923年の関東大震災の発生を契機に、災害への備えを見直し、広く周知するための機会とされています。震災や自然災害は、私たちの予想を超えた規模や影響をもたらすことが多いため、「備えあれば憂いなし」という言葉が示すように、事前の準備と心構えがどれほど重要かを再認識する良いタイミングだと思っています。しかし、本当に「備えあれば憂いなし」なのでしょうか?

 最近の状況を鑑みるに、備えても備えても…憂いが。
 「想定外」を想定する、その難しさを感じています。

 2011年3月11日に発生した東日本大震災は、震災とその後の津波の破壊力がいかに甚大であるかを強く印象付けました。予想をはるかに超える被害が広がり、あまりにも突然の状況に為す術のない事態に陥りました。当時、私は県庁13階で仕事をしていた訳ですが、数分にも及ぶ揺れに、これまで味わったことのない命の危険を感じ、祈ることが精一杯でした。震災後の教訓として、地域や家庭、職場での日常の防災対策の必要性が浮き彫りになったことも事実です。特に「想定外」という言葉が頻繁に用いられるようになりました。この「想定外」を意識して準備することが、私たちにとっての新たな課題、重要な課題となっています。備えを万全にし、予測できる範囲内でのリスクを最小化する努力が求められているわけですが、備えを万全にすることは不可能に近いことです。矛盾するようですが、それでも、想定し続けなければなりません。
 大震災の後、特に注目されたのが「大川小学校訴訟」です。宮城県石巻市の大川小学校では、津波によって多くの児童と教職員が犠牲となりました。胸が締めつけられる痛ましい記憶です。訴訟では、避難指示の遅れや学校側の対応の不備が問題視され、結果的に行政の責任が問われました。この事案は、学校や地域がどれほど迅速かつ適切な対応をとるべきか、またそのためにどう準備をするべきかについて深く考えさせられるものでした。判決を通じて、単なる物理的な備えだけでなく、情報の共有や適切な指示がどれほど重要であるかを認識しましたし、日常的な防災訓練や緊急時のマニュアル作成、そしてそれをすみやかに実践する力が、実際の災害時に大きな違いを生むことになることも実感しました。

 日常の所作が、有事の際の拠り所となる!
 日常できないことは、有事の際にもできない。

 8月8日に、南海トラフ地震臨時情報が気象庁より出されました。突然の呼びかけに、災害への準備不足を痛感した方も多かったのではないでしょうか。私もその一人です。物理学者の寺田寅彦さんの「天災は忘れた頃にやってくる」という言葉を改めて思い出し、備えの再確認をしたところです。
 やはり、自分自身と家族の安全を守るために、平時から油断をせず、備えを怠らず、また地域全体での防災意識を共有し、協力することで、災害によるリスクを最大限に軽減することができると思います。物心両面の備えをしっかりと行い、未来に対する不安を少しでも和らげることが、一人ひとりの責任であることを忘れずにいたいものです。<令和6年9月3日 NO.12>

 

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