社長ブログ

「終わり」と「始まり」の交差点  ~ 虫の声を聴きながら秋の夜長に思う ~

2024.10.02

「暑さ寒さも彼岸まで…」
 亡くなった母がよく口にしていました。

「どんなに暑い夏でも秋の彼岸までにおさまり、どんなに寒さ厳しい冬でも、その余波は春の彼岸までに和らぐので、それ以後は過ごしやすくなる」という言い慣わしです。しかし、昨今は、秋の彼岸を過ぎても暑い日が続くようになりました。
 子どもの頃は、暑さも寒さもさほど苦にならず、かえって太陽ギラギラの暑い夏や寒風吹き荒ぶ大雪の冬の方がなぜかうれしく感じていたのを思い出します。季節の変わり目やその移ろいなども眼中にはなかった気がします。孫も成長し、還暦を数年過ぎた今、穏やかで過ごしやすい気温を切望するようになりました。また、四季折々の景色や寒暖の差にもかなり敏感になりました。

 10月に入り、あんなに暑かった夏の朝夕が嘘のように涼しくなり始めました。寝苦しかった熱帯夜、そして朝まで暑かった日々はどこに行ってしまったのでしょうか(個人的にはうれしいばかりですが…)。この感じでゆけば、あっという間に冬が来そうな予感もします。秋の虫たちもそれを感じて鳴いているのでしょうか。短い期間を精一杯生きようとしているのかはわかりませんが、例年よりも鳴き声が大きく感じます。虫や動物も含め、いのちあるものにとって過ごしやすい充実の秋が長いことを願います。

 ところで、彼岸は過ぎましたが、野に咲く「彼岸花」の赤がなんときれいなことでしょう。
 自宅近くの公園にも凜と咲いていました。彼岸花(ヒガンバナ)は単子葉植物綱ヒガンバナ科ヒガンバナ属の多年草です。学名はLycoris radiataと言い、「radiata(ラジアータ)」は放射状の意味があり、散糸花序で6枚の花弁が放射状につきます。花茎の先に強く反り返った鮮やかな赤い花が印象的です。小学校の教科書にも載っている新美南吉の童話「ごんぎつね」にも出てきます。因みに「ごんぎつね」の舞台になった愛知県半田市の矢勝川の堤防には300万本のヒガンバナが咲くといいます。一度は見てみたいなあと思っています。山形市内では、本沢地区にある長谷堂城跡公園の群生が見事です。

「暑さ寒さも彼岸まで…」
 この慣用句は、季節の変化を示すだけでなく、人生の厳しい局面にも光を与えてくれるメッセージでもあったと思っています。「辛いことや厳しい状況もやがては終わりが訪れる」「明けない夜はない」「暗いトンネルの先に光が見える瞬間がある」「楽あれば苦あり」「人生万事塞翁が馬」などなど。どんなにどうしようもない状況に見えても、やがてはその終わりが訪れることを信じて進む、その姿勢が大切なことを伝えてくれています。

 暑さが和らぎ、少しずつ涼しさを感じるこの季節は、まさに「終わり」と「始まり」の交差点です。過去の厳しい状況を振り返り、そこから学び、成長する機会でもあります。辛い日々もやがて過ぎ去り、また新たな希望が芽生える。そう考えると、どんな状況でも前向きに進む力を与えてくれるのではないでしょうか。この季節の変わり目に、自分自身の成長を感じ、次の一歩を踏み出す勇気を持ちたいものです。記録的大雨に見舞われた庄内・最上地区の復興も道半ばですが、一歩一歩前に進んでほしいと願っています。
 季節の移り変わりと同じように、その先に待つ明るい未来を信じて…。<令和6年10月2日 NO.14>

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