覧古考新 ~ 来年は70期、会社創立70周年を迎えます ~
2024.12.03
2024年も残すところ、ひと月となりました。蔵王山や月山をはじめ、周りの山々はうっすら雪化粧…。
会社の暦でいえば、第69期の最後のひと月を締めて、新年には節目の「第70期」を迎えることになります。時はいつも淡々と流れますが、創業から70年という年月を想うとき、その歴史と信頼の重みを感じずにはおられません。今年は、県内においても、多くの自治体(寒河江市、長井市、村山市、朝日町、中山町、西川町など)が施行70周年を迎えています。同じ年月の歩みを想うとき、森厳たるものがあります。
手元に、「創立40周年」を記念して綴られた『教育用品の歩み』と「創立60周年」を記念して綴られた『会社の履歴書』があります。この『教育用品の歩み』『会社の履歴書』をもとに、歴代の社員がともに汗し、「山形県の教育の前進」のために歩んできた月日を10年刻みで振り返ってみたいと思います(併せてホームページの「沿革(会社のあゆみ)」もご覧ください)。
<時は、昭和31年まで遡ります>
4月10日、県内教育界の期待を担い教育関係者の出資によって、弊社は設立されました。
資本金200万円、株主数43人、従業員数22人をもって法人登記。初代社長に就任した高橋俊一氏は、「この会社は教育の振興と内容の充実を目的とするものであって、現場の先生方の総意と熱意の結晶であることを確認して就任いたしました」「私共役員は、その責任の大きいことを痛感しているものです。そして期待にこたえるために献身する決意も持っております」と述べています。
翌年には、外販用のスクーターを10台購入。教研式知能テストや学力テストの取引が開始されます。また、「理科部門に力を入れる」という記録がありました。ちょうど、ソ連の人工衛星ロケットの打ち上げ成功により、所謂「スプートニクショック」が起きた頃です。順次、日本標準や学研とワーク類の取引、そして、中学校学参物の販売が開始されました。創業・独立を果たした10年間です。
<昭和41年からの10年間は、体制整備・事業拡大の時代です>
給与体系の検討などから労使間の紛争が激化した時でもあります。各地区の拠点として、置賜支店(旧)を始め、山形支店(旧)、庄内支店、新庄営業所、村山営業所(現在は廃止)を順次設置。昭和45年には第5次増資により資本金が5000万円となりました。また、昭和46年からは各地区で「図書展示会」を開催し現在に至ります。昭和42年に発足した「YBC読書感想文コンクール」は「YBC読書感想文・本の森たんけん」として今も続く大切な事業の一つです。
<昭和51年からの10年間は、占有拡大・発展の時代です>
コンピュータによるデータ管理の導入。出版では、郷土文化シリーズ(日本標準)が「山形の昔話」を皮切りにスタート。「山形の伝説」「山形の歴史ものがたり」「山形の理科ものがたり」「山形の算数ものがたり」など、次々に編集・販売。村山・新庄両営業所は支店に昇格し、県内5支店となりました。また、酒田出張所に続き鶴岡出張所も設置。第8次増資により資本金が8,800万円となり、全社員海外研修旅行が始まったのもこの頃です。
<昭和61年からの10年間は、新規事業拡大の時代です>
新規事業として「大正琴教室」を開設(昭和61年)。先生方に向けた季刊誌「教育フロンティア」の発刊開始(昭和61年)。子どもたちに夢と希望を与える郷土学習図書「少年少女やまがた人物風土記」編集発行を開始(昭和61年)~全5巻完結(平成2年)。図書事業部を新規に立ち上げ、店舗「BOOKサービス山形」を開店(昭和63年)。「やまがたの遊び」「青い目の人形ものがたり」編集発行(平成4年)。社内報第一号の発行(平成5年)。「たべものたんけんたい山形」編集発行(平成6年)等々、地方教育出版事業として、続々と新規発行販売が続きます。
<平成7年からの10年間は、21世紀へのアプローチの時代です>
平成7年には、念願の本社が現在の場所に完成しました。創立40周年と共に本社新築落成記念として盛大に式典を開催。児童生徒の長期的減少や学校現場のニーズの多様化など、課題も深刻になる中、教育環境のハード面の一翼を担う新部門や、さらには「表装」部門を開設し、新たなる市場へのチャレンジを行います。社員一同が介せる広さを持つ本社の完成により、翌年(平成8年)からは、現在も続いている「仕事始めの儀」が行われるようになりました。また、新業務として学校向けの「通販」事業も開始(平成13年)、現在に続きます。
<平成17年からの10年間は、業務の安定成長をめざした時代です>
平成17年には「創立50周年」を迎えました。半世紀の歩みを機に、第二次販売管理システムの構築にチャレンジ。平成20年より受発注や入金業務がコンピュータでできるようになり、大きな業務改革が実現しました。時代のニーズに合わせた「学校通販」も軌道に乗り、「スマートスクール(旧称スクレックス)」「ウチダス」の両輪となりました。また、経費削減対策として、IP電話の導入、ひかり電話への切替、営業担当者への携帯電話貸与等、通信費の大幅見直しも図りました。さらに、幼保事業では「世界文化ワンダー」と連携し、マーケティング開発部の一つの課として、課長を含む4人体制で事業を展開。現在は「チャイルド社」とも連携し、高校部門も入れて5人体制で展開中です。
<平成27年から本年までは、コロナ禍を含め世界が大きく揺れ動いた時期にあっても、粘り強く成長を目指してきた10年間です>
平成27年に「創立60周年」を迎えました。令和2年には「新型コロナウイルス」によるパンデミック。各学校への営業は慎重を期し、マスク着用は必須要件、訪問する時間にも配慮。また、これまでの生活様式も大きく変化しました。「3密」回避のための「ICT整備」が加速。GIGAスクール構想により、児童生徒一人一台のタブレットが導入され、デジタル化が課題となりました。令和4年にはロシアによる「ウクライナ侵攻」。続く「パレスチナ問題」。そして、常態化した物価高。グローバルになったとは言え、切り捨てと分断、格差拡大の一途をたどっています。また、地震、台風などによる大規模自然災害が増加した「変化の激しい10年」とも言えます。
その中にあって、現状の課題(少子化、デジタル化、物価高騰化、価値の多様化と複雑化、生活様式の劇的変化等々)に向け、その対応策を模索し進んできた、まさに怒濤の10年間です。
振り返ってみますと、「これまでもいろいろな問題がありながらも、ひとつひとつの壁を全員で乗り越え、前進してきたという歴代社員の歩みの事実」が、後輩の私たちを勇気づけてくれています。60周年記念誌「会社の履歴書」にある海老名会長の『故きを温ねる』、長塚社長の『先人の行動を知り、役員社員一丸となって』の巻頭言が胸に響きます。「会社がどんな歴史をたどって今日に至ったのか」「先人たちがどんな思いでどんなことをしてきたのか」「その事業がなぜ必要だったのか」「そこから得たことは何なのか」「もう一度その意義をみんなで考えることが大事だと思うから」…。根底には、先の10年、いやさらにその先の未来を見据えて進もうという強い願いが伝わってきます。
新年には「節目の70期・創立70周年」を迎えます。あらためて「覧古考新」の時です。
これまでの「前進の歩み」を振り返りながら原点に立ち返り、新たな10年、いやその先の未来をも深く考え、社員全員で「前進」してゆきたい、そう思います。<令和6年12月3日 NO.18>