冬(殖ゆ)から希望の春(張る)へ ~ 出逢いの季節に想う ~
2025.04.01
新年度を迎えました。
本日1日の朝は、チラチラと小雪が舞い、昼頃には大粒の雪に。3月24日に桜の開花宣言があった東京でも雪がちらつき、冷たい小雨模様だったようです。春はもうそこまで来ていると思いますが…。
春は「張る」に由来するそうです。その秘密は冬にあります。冬は、「殖(ふ)ゆ」からきた言葉だといいます。新しい命が増え、木の実や花のつぼみが膨らんでいく。その季節を「冬」と呼んだのだそうです。冬は凍りついた世界ではなく、命の芽生える出発点。やがて、木の実やつぼみはどんどん増え、膨らみ、張り切れんばかりになっていきます。この命がみなぎり、張り切れんばかりに張った季節が「春」だというのです。「春」は「張(は)る」に由来します。張りに張って、これ以上に膨らむことができなくなった時、木の芽やつぼみは裂け、緑の葉となり、花と化します。ですから、「希望の春」なのですね。弊社の玄関前のさつきの芽も少しずつ膨らんできています。
人も同じだと思います。ため込んできた力が膨らみ開花する季節。努力が実を結ぶ季節。苦労したことが少しでも報われていく季節。学校では新入学を祝い、皆が一学年進級する季節。会社や職場にとっては溌剌とした新入社員を迎えるとともに、人事異動による新たな出逢いが生まれる季節。卒業や異動により悲しい辛い別れがあったにせよ、その悲しさや辛さを乗り越えながら心が膨らみ、さらなる「よき出逢い」へと花開いていく、そういう季節だと思います。また、そう願います。もちろん、不安や心配事も少なくないことも事実でしょう。その払拭には時間がかかるかもしれませんが、あきらめないことです。ねばり強くと願います。
出逢いの季節になると、思い出す一編の詩があります。中学時代に恩師が授けてくれた詩です。
題名は「人」、副題に「~ロボット~」が付されています。
人 ~ロボット~
なぜ自分がうごくのか なぜ自分はとまるのか
それを知らないかなしいもの それはロボット
なぜ自分がおどるのか なぜ自分はうたうのか
それを知らないかなしいもの それはロボット
花のうつくしさも 風のあたたかさも 人のすばらしさも
気づけずに ただそこにいるだけ
花のさびしさも 風のきびしさも 人のみにくさも
気づけずに ただそこにいるだけ
ひとは ひとはひとり
なぜここに生きるのか なぜここに学ぶのか
ひとは ひとはともに
なぜここにいきるのか なぜここに学ぶのか
おのれ自身でつかみとる
ひととともにつかみとる
半世紀を過ぎた今でも色あせない一編。いや、人工知能(AI)が発達しロボットが闊歩し始める今だからこその一編かもしれません。<令和7年4月1日 NO.26>