社長ブログ

紙の本がもたらす豊かな読書体験を  ~ 11,000冊を超える学校図書展示会開催中 ~

2025.05.14

 令和6年度に、第4次山形県子ども読書活動推進計画が策定されました。以降概ね5年間の計画です。
 策定のねらいは、「家庭・地域・学校等、社会全体で子どもの読書活動を推進し、子どもの豊かな心を育成する」と謳われています。
 本は知識の宝庫であり、想像力を育む大切な存在です。また、学校図書館は、子どもたちが本と出会い、読書の楽しさを知る場として重要な役割を果たしています。

 弊社では、山形県小・中学校教育研究会図書館部会の協賛、県PTA連合会の後援をいただき、毎年「学校図書展示会」を企画運営してきました。今年は連休明けの5月7日からの山形会場を皮切りに、庄内会場、新庄会場、置賜会場で実施です。すでに、山形会場や庄内会場にはたくさんの先生方や図書司書の皆さまがご来場くださり、盛会の内に終了しております。新庄会場は5月15日より、置賜会場は5月20日から開催予定です。是非、足をお運びいただき、本を手に取ってご覧いただければと存じます。

 この「学校図書展示会」の歴史は古く、昭和46年まで遡ります。
 当時の学校図書館における本の購入は、写真もないカタログを参考にしての購入だったといいます。山形県独自で多くの本に触れられる機会をつくれないか…この強い願いの具現化が「学校図書展示会」に結びついてゆきます。当時の社員が1年間の研修を受け、やっとの思いで実現にこぎ着けます。会場の問題、経費の問題、装備の問題等々、まさに手間暇をかけた大きなチャレンジです。ご参会くださった先生方からは、現物を手にして検討できる良さや多くの出版社情報が聞ける良さなど、好評を得ます。また、納入後すぐに貸し出し出来るように、弊社において事前に基本装備して納入するシステムを構築するなど好評を博し、当時の図書館革命とでも言える「大きな一歩」を踏み出して、今日に至ります。
 さらに時を経て、工夫改善された点もいくつかあります。
 その一つに、ハンディ端末の読み込みによる選書作成が挙げられます。以前は、選書された本に付帯する短冊を集めてそのバーコードを読み込んで選書作成をしていましたが、その待ち時間と手間が省け、瞬時にリストが出力出来るようになりました。また、「ToshoTosho(トショトショ)」という学校図書館のための図書が見つかるサイトなども開発され利用可能となりました。

 11,000冊を超える図書の展示は圧巻です。
 学校図書館のためのブックカタログ2025掲載の図書を始め、授業や調べ学習に役立つ小中学校向けのセット図書、新刊・ロングセラー・ヤングアダルトなどを中心とした読み物なども多数展示しています。また、第58回YBC読書感想文「本の森たんけん」指定図書や第71回青少年読書感想文全国コンクール課題図書の展示も行っています。さらには、企画展示として「読書バリアフリー特集」「備災-災害への備え-」「サイコロ・リーディング-花言葉編-」「中学生向け図書」など…多彩なコーナーも設置し、手に取ってゆっくりとご覧いただく場を提供しております。

 デジタル化が進む現代において、「活字離れ」が叫ばれることが増えています。しかし、紙の本にはデジタルにはない魅力があり、読書の質を高める効果があることが研究でも示されています。紙の本には、以下のような読書の質を向上させるメリットがあると言います。
①集中力の向上・・・スマートフォンやタブレットのように通知が来ることがなく、読書に集中しやすい環境を提供します。研究によると、紙の本を読むことで、デジタル画面よりも深い理解が得られることが分かっています。
②記憶力の向上・・・紙の本を読むと、ページをめくる動作や紙の質感が記憶に残りやすく、内容を長く覚えていられるという研究結果があります。
③目の負担が少ない・・・デジタル画面はブルーライトを発し、長時間の使用が目の疲れにつながります。一方、紙の本は自然な光のもとで読むことができ、目に優しい読書環境を提供します。
④創造力と想像力の刺激・・・紙の本は、読者が自分のペースで読み進めることができ、想像力を働かせながら物語の世界に没入できます。デジタルコンテンツのように映像や音声が補完されないため、読者自身が情景を思い描く力を養うことができます。
 紙の本がもたらす豊かな読書体験を願ってやみません。その一方で、デジタルコンテンツやデジタルブックの良さも勿論あります。ですから、両方の良さを生かすことが大切であることは言うまでもありません。互いの良さを最大限に生かしていくことが肝要かと思っています。<令和7年5月14日 NO.29>

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