社長ブログ

全日本地方教育出版協議会  ~ さくらんぼ狩りに山寺探訪 ~

2025.07.01

 先週中に西日本各地は梅雨が明けました。例年より記録的に早い梅雨明けとなったようです。これも異常気象の一つでしょうか…東北地方も梅雨明けが待たれるところです。

 先日、梅雨の合間を縫って、フルーツ王国山形を会場に「全日本地方教育出版協議会 企画開発委員会 山形大会」を開催いたしました。開催前後日は雨々雨! まさしく「梅雨の合間を縫って!」と言うにふさわしい好天に恵まれた見事な二日間でした。山形新幹線もトラブルに見舞われる前の快走時期でした。協議会会員の皆さまの日頃の精進の賜かと思いました。

 この協議会の目的は「地域に根ざした教育教材を編集・出版し、販売活動をしている地方の団体・組織が一堂に会し、互いの経営や運営などの情報交換を通して地域の教育の発展に寄与する」ことです。遠くは愛媛、名古屋、そして静岡、長野…。新幹線を乗り継いでのご参加です。かつては、沖縄や北海道からも参加されていたようです。
 この協議会の歴史は古く、昭和34年まで遡り、当時は「協議会」ではなく「懇話会」といっていたようです。記録によれば、業態診断、社内機構、人事管理、年間事業計画、商品管理、事務能率の向上、簡素化、機械化、児童生徒減対策、教科書準拠問題、著作権問題などなど、時代の移り変わりに伴って様々な議題を討議してきました。今回は、デジタル教材の紙教材採択への影響や人材確保、効果的な求人、至近の業績などについて協議をしたところです。今後も、加速する教育DXへの対応は必須要件となりますが、「デジタルか? アナログか?」の二項対立ではなく、バランスのとれた教育支援策が望まれるところです。経済優先だけでは「教育」の本質を見失うことにもなりかねません。教育は手間暇のかかる営みです。まして、幼児教育から初等教育における様々な「原体験」や「書く・読む」を通した深い学びの経験は、その後の人格形成に大きな影響を及ぼすことは明らかです。教育DX先進国は、すでに路線を変更しています。それぞれのツールの良さと発達段階をしっかりと意識した施策が必要なときではないでしょうか。流行に踊らせられない骨太さが望まれます。

 密度の濃い会議を経たからこそ、心和む「懇親の場」が一層盛り上がります。
 自然豊かな山形の幸に、米所にふさわしい美酒県山形のお酒を堪能していただいたところです。

 フィールドワークのメインは、「さくらんぼ狩り」と「山寺探訪」です。
 会員全員が初めてだという「さくらんぼのもぎ取り体験」は実に好評で、「佐藤錦」を中心に「香夏錦」「紅秀峰」「紅さやか」…など数種類の食べ比べができました。もぎたては瑞々しく、甘みや酸味も際立ちます。地元にいながら「さくらんぼ狩り」は初体験でありました…トホホ。

  閑さや 岩にしみ入る 蝉の声(松尾芭蕉)

 この歌が詠まれた「宝珠山立石寺」が通称「山寺」です。天台宗に属し、創建は貞観二年(860年)、天台座主第3世慈覚大師円仁によって建立されました。奇岩怪石からなる山全体が修行と信仰の場になっており、登山口から大仏殿のある奥之院まで1時間ほどの道のりのそこかしこに、絶佳の景観が広がります。登山口からほど近い場所に位置する「根本中堂(こんぽんちゅうどう)」は、国内最古のブナ材木造建築とされ、国の重要文化財に指定されています。ここで特別に拝見させていただいたのは、開山の際に本山延暦寺より分けられた「不滅の法灯(ふめつのほうとう)」です。織田信長の焼き討ちで延暦寺を再建した際は、逆に立石寺から分けたと伝えられています。時を超え、ゆらゆらと燃え続ける炎を間近に心が洗われたと感じたのは私だけではなかったと思います。静寂の中に身を置き、しばし立ち尽くしました。合掌…。
 また、山寺随一の展望台でもある五大堂からの眺めは壮大で、梅雨の合間に晴れ上がった空と緑の山々は記憶に残るものだったに違いありません。1015段もある長い石段。修行の石段を登った皆さんは、きっと煩悩が消滅したことでしょう。秋の再会を楽しみにしたいと思っています。<令和7年7月1日 NO.32>

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