社長ブログ

庭木の芽吹き  ~ 早春に咲く「さんしゅゆ」 ~

2026.03.26

 暑さ寒さも彼岸まで…。
 春のお彼岸を過ぎ、大分春めいてきました。

 庭木の芽吹きを待ち遠しく思っていたところ、さんしゅゆの黄色い花のつぼみが膨らみ始めました。地面にはふきのとうも、ほんの少し顔を出しています。朝の空気はひんやりとしていて、まだ冬のなごりも色濃く残っていますが、日差しの角度が少しずつ変わり、春の気配が確かに近づいていることを感じます。さんしゅゆは、毎年いちばん早く春を知らせてくれる庭木です。冬の静けさを破る最初の色。それが、さんしゅゆの黄色(春黄金花)です。つぼみが膨らむのを見るたびに、「今年も春が来たなあ…」とつぶやいてしまいます。

 庭には、さんしゅゆのほかにも、あんず、花桃、はなみずき、やまぼうし、ひめりんご、なつめ、ツツジ、さつきと、季節ごとに表情を変える木々が並んでいます。どの木にも植えた日の記憶があり、庭を見るたびに思い出のアルバムをめくっているような気持ちになります。
 あんずの花は、淡い桃色がどこか控えめで、優しい雰囲気をまとっています。隣に立つ花桃は、春を祝うように華やかに咲き誇ります。二つの木が並んで咲くと、庭が一気に春の絵巻のようになります。さんしゅゆやあんずを植えた年のこと、花桃を迎えた日のこと。花が咲くたびに、その時の気持ちや風景がふっとよみがえります。庭木は、時間を記憶する不思議な存在だと感じます。
 はなみずきが咲く頃、山形の春はようやく本格的に動き出します。薄紅色の花びらが空に向かって開く姿は凛としていて、見ているだけで背筋が伸びるようです。やまぼうしは、はなみずきより少し遅れて咲きます。似ているようでいて、花の形も佇まいも違います。また、ひめりんごの花も白く可憐です。これらの木々が季節をバトンのようにつないでいく様子を眺めるのが毎年の楽しみです。
 春の花も美しいですが、秋に実をつける木々にはまた別の魅力があります。ひめりんごの赤い実は小さな宝石のように枝を飾り、なつめの実は素朴で、どこか懐かしさを感じさせます。さんしゅゆの実は赤く熟すグミに似た果実で秋珊瑚と呼ばれています。これらの木々は、季節の移ろいをゆっくりと教えてくれる存在です。実が色づく頃には、また違う思い出が顔を出します。
 ツツジやさつきは、親父やお袋が大事に育ててきた木々。五葉松やキャラ、モミジとともに家族の時間を静かに見守ってきた思い出深い庭木たちです。

 はなみずきの花を見ると、どうしても思い出す歌があります。一青窈の「ハナミズキ」です。
 この曲が生まれた背景には、2001年のアメリカ同時多発テロがあると言われています。悲しみの連鎖が続かないように、愛する人の幸せを願う気持ちを込めて書かれた歌詞。その祈りのような言葉が、多くの人の心に届き、今も歌い継がれています。
 はなみずきの薄紅色の花が空に向かって咲く姿は、まるでその祈りを受け止めているようにも見えます。庭のはなみずきも、毎年静かに空へ願いを届けているのだろうと感じます。

 庭の木々は、季節の移ろいを知らせてくれるだけでなく、過ぎてきた時間や、もう会えなくなった人たちの思いまでそっと抱きしめてくれているように思います。そして、毎年同じように見えて、実はその年ごとに違う表情を見せてくれます。
 厳しい冬を越えた枝先に、確かな芽吹きが宿るように、私たちの仕事もまた、積み重ねた時間の上に新しい季節が訪れます。山形の春はゆっくりですが、その分だけ、ひとつひとつの変化が尊く感じられます。会社の歩みも同じで、急ぐ必要はありません。確かな根を張り、時間や季節を重ね、やがて実りを迎える。その過程こそが、私たちの力になるのだと思います。<令和8年3月26日 NO.49>

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