社長ブログ

発酵行きの列車に乗り換える

2008.06.17

前回の続きをと思いましたら、14日、大地震が東北地方をおそいました。お亡くなりになった方々のご冥福をお祈り申し上げます。また、山形県の方々を始め、まだ救出されない方々がおられます。少しでも早い救出をお祈りいたします。けがをされたり、被害に遭われた方々もたくさんいらっしゃいます。一日も早い回復と復旧がなされるようお祈り申し上げます。
地震は恐ろしいですね。現代科学をもってしても予知することがままなりません。自然の力の前に、人間の非力さを痛感します。
自然の力の偉大さ、これを発酵ということから考えたのが寺田啓佐さんでした。彼は言います。「人工的に作られた乳酸で発酵させて、確実に大量の酒を作る。もともと琥珀色の酒を、どこまでも無色透明に変えてしまう。米のうまみを雑味として、できる限り取り除いてしまう。アルコールを添加して、または初期段階で米の熱風処理などをして生産性を追求する。こういった酒造りの原動力となるものは、いったい何なのか? それは、競争に勝つことにほかならない」。
そして、世の中全体が「『奪ったもん勝ち』の弱肉強食の世界」であり、「利己主義と能力主義が横行する闘争の世界」となっていると指摘します。「エスカレートした競争社会の裏側には多くの犠牲が存在」するとし、汚染された空気、水、土壌、人々の体と心、そして、なによりも子どもたちの犠牲をあげています。
「競争の重圧がいじめにつながり、校内暴力に発展」し、「毎日のように報道される親子間の殺人事件も、原因を調べてみれば、ほとんどが競争にある」と言います。「視野を広げれば、地球上にいたるところにある紛争」も、「生命というものを無視してきた経済優先の考えが引き起こしてきた」ものであり、「社会をすっかり腐らせてしまった」と嘆きます。
いやあ、まったく同感です。この間の秋葉原の事件の後、さっそく、親のバッシングと学校歴を根ほり葉ほりほじくり出すマスコミ、そして「教育の問題」とまたぞろ言い出す「識者」といわれる人々がありました。寺田啓佐さんは今頃、怒っているでしょうね。
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そういう世の中ならどうする、寺田さん。彼は、「自然に還ることが、社会の腐敗を止める」といいます。「『自然に還れば、また発酵していくよ』と酒蔵の微生物が教えてくれる」「自然界は、競争原理よりも協調原理のほうが強く働いている」「人としての生き方を微生物に学び、自然に還れば、腐敗した社会はまた発酵し、争わずとも活かされる道が開かれていくはずだ」。
最後まで寺田啓佐さんの引用ですみません。「競争から共生へ、奪い合いから分かち合いの世界へと、今こそ大きく転換するときが来た。腐敗行きの列車から降りて、みんなで発酵行きの列車に乗り換えるのだ」。

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