アオスジアゲハ
2008.07.17
このあいだの写真のチョウはなんだという声がありましたので、チョウの話。あれは、アオスジアゲハです。3年前、沖縄で撮ったアオスジアゲハです。名前の通り、あざやかな青いスジのある、アゲハチョウ科のチョウです。
アオスジアゲハをはじめて見たのは、象潟の蚶満寺(かんまんじ)でした。昆虫少年として、捕虫網を手に、来る日も来る日もチョウを追いかけていた頃、家族で、象潟に海水浴に行きました。汽車(もちろん国鉄、電車ではなかった)に乗って、延々半日かかって象潟駅に。
象潟ですからまずは蚶満寺にお参りと、境内に入ったとたん、樹木を飛び回る、黒いチョウ、でも、クロアゲハでもない、カラスアゲハでもないチョウが。駆けだして近づくと、それは図鑑でしか見たことのないアオスジアゲハでした。
捕虫網を持たない私は、悔しさの余り、かぶっていた帽子を振り回して追い回しました。そんなことで捕まるチョウではありません。花で蜜を吸っているかとおもうと、すっと真上に矢のように飛んで。私は、ただただホコリまみれになるだけでした。
図鑑では、アオスジアゲハはミカドアゲハのとなりに載っており、そのミカドアゲハはなんと、国の特別天然記念物だったのです。どちらも南方系のチョウであり、ましてや特別天然記念物のとなりに載っているチョウ。それだけで、アオスジアゲハは、私の手にとどかないあこがれのチョウになったのです。
海水浴から戻っても、頭の中はアオスジアゲハ。夢の中でもアオスジアゲハが飛び回る日々が、ひと夏続いたのでした。
南方系といっても、アオスジアゲハは庄内地方にはけっこういて、特に、秋田との県境、三崎公園では、タブの林を飛び回るたくさんのアオスジアゲハを見ることができます。そうです、アオスジアゲハの食草はタブノキなのです。
タブノキのあるところ、アオスジアゲハは毎年発生するのです。でも、タブノキは暖かい地方の植物ですから、山形では庄内地方の、冬でも暖かい海岸線の近くにしかありません。したがって、アオスジアゲハは、内陸にはいないのです。
ところがです、上山の三吉山でアオスジアゲハを見つけたという人が現れたのです。上山の中学校理科のM先生です。そんなことはないだろうと、彼に話したけれど、見たものは見たのだと。理科の先生の彼がいうと、説得力があるのです。
飛翔力の強いチョウですから、アサギマダラのように風に乗ってやってきたのかもしれません。または、三吉山に、タブノキと同じ仲間のクスノキやその仲間の樹木があり、そこで毎年発生しているのでしょうか。
温暖化で、南のチョウが北上しているそうです。山形でも、少しはあるタブノキや神社のクスノキで、アオスジアゲハが周年発生して飛び回ったら、それはそれで、うれしいなあ。