社長ブログ

神は細部に宿る(God is in the details)

2008.11.25

ひと月も前になりますが、静岡に出張した帰りの夕方、駅で朝日新聞を買ったら、なんと夕刊でした。静岡では全国紙の夕刊があるんだと、妙な感心をしたあと、改めて、全国紙の夕刊のない山形は「地方」なのだと、これも妙な落胆をしました。
その夕刊に、偶然なのでしょうが、「神は細部に宿る」が2つの記事に載っていました。1つは、「ニッポン人脈記」、「おーい寅さん⑩ 煮っころがしに神は宿る」です。山田洋次監督のもとに集まるスタッフの一人、小道具係だった露木幸次氏の話。
「『寅さんの好物のイモの煮っころがし、あれはいつも僕が作っていた。俳優さんが食べたときに、あ、うまい、という味、食堂で作らせてもどうしても出なかったから』。露木の母は煮っころがしが得意。その味を舌が覚えていた。寅さんの手土産は東京駅地下の名店街で選ぶ。山田のこまやかな注文に忠実にこたえた。神は細部に宿る。それは裏方のプライドでもあった」
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もう1つは「記者風伝」、「疋田桂一郎 その八」。疋田桂一郎は、朝日新聞を代表する記者、朝日新聞の文体を作った記者といわれている、その風伝。
「『細部こそが大事』という態度は、どんなときも変わらなかった。例えば、『色とりどりの車両が基地へ入っていった』などという文章を書くと、『何色と何色だったか』とただされるのだった。記者は確かめるためにもう一度基地へ戻り、門の脇に一日立ち尽くさなければならなかった」
「神は細部に宿る(God is in the details)」は、ドイツの建築家、ミース・ファンデル・ローエが好んで使い、有名になった言葉だそうです。
東京都中野区教育委員会のHP、その中の教育長さんのメッセージに、「すばらしい芸術作品や良い仕事は細かいところをきちんと仕上げており、こだわったディテールこそが作品の本質を決定する。何ごとも細部まで心をこめて行わなければならないというような意味だと思いますが、何かもっと深い意味が隠されているような気がして個人的に大変好きな言葉です」とありました。
私も、教育ということ、そして授業、子どもの成長にかかわる教師の活動は、つとめて「神は細部に宿る(God is in the details)」であると、ずっと考えていました。子どもとのコミュニケーションの中で、細部、ディテールにこだわらない教師は罪です。
それは、細部、ディテールにこだわらない子どもをつくるからです。「なやんでしまいました」と中途半端ないい方をしたとき、A君の学級の子どもたちはそれを許しませんでした。抽象的な言葉、曖昧な言葉をそのままにしない、「神は細部に宿る」教室だったのです。
細部、ディテールは市町村にまかせるという施策が問題になっています。「神は細部に宿る(God is in the details)」は、A君の学級のように、山形では、子どもたちも分かっていることなのになあ。

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