社長ブログ

オリオンがきれいです

2009.01.14

オリオンの美しい季節になりました。きのうの夜の9時頃、大きな十六夜の月の右手に、くっきりと、冬の星座オリオンが見えました。真ん中の三つ星があざやかに見え、むかし、この三つ星にまつわる教材で授業をしたことを思い出しました。
それは『ラクダイ横丁』という物語です。当社でかつて出版していた「やまがた小学生の読書」の5年生にのっていました。岡本良雄作の児童文学です。大まかならあらすじはこうです。
山で生まれたイノキチ少年は、大学近くのラクダイ横丁のオリオン軒というミルクホールで働いています。ミルクホールにはたくさんの学生がやってきますが、その中のヨシムラさんと親しくなります。
ヨシムラさんは働きながら大学に通っているのですが、出席日数が足りずにラクダイします。ラクダイ横丁に通いつめてラクダイする学生と同じラクダイだということに腹を立てるイノキチに、ヨシムラさんはこう言います。
「なあに、ラクダイはラクダイ。もう一年やり直し。のんびりやるさ」、そして向かいのカフェーの上の空をさして、「あの三つ星は、五百光年、つまり、あの星の光が、あそこから、ここまでとどくのに五百年もかかっているんだ。そいつを思えば、なあに、一年や二年のラクダイなんか、なんだっていうんだ。なあイノ公」
この物語にはイノキチの三つの「おどろき」がでてきます。第一番目は「山で見たしものおどろき」、二番目は「日本海の丸い石のおどろき」、そして三番目は「オリオンの五百光年のおどろき」。おどろきを通して、人は成長するのです。
イノキチの三つの「おどろき」には、それぞれ、イノキチにとって大切な人がかかわります。山で見たしものおどろきには「ミヨコ」が、日本海の丸い石のおどろきには「先生」が、そしてオリオンの五百光年のおどろきには「ヨシムラさん」が。
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物語の最後はこうです。「五百光年、アテネ、ローマの古都、そんなことばが三つ星のあいだにキラキラして、山で見たしものおどろきや、日本海のまるい石よりも、なお新しいおどろきの心をかきたてたのであった」、本当にいい教材です。
この物語の授業をする前、ちょうど東京出張があり、東大赤門前の本郷会館に泊まりました。夜、夕食に宿を出たら、なんと、そこは「ラクダイ横丁」だったのです。とある一軒に入り、杯を傾けながら「ラクダイ横丁」の由来をきき、「ラクダイ横丁」の文字の入ったマッチをもらってきました。ネットで見る限り、それは今もあるようですね。教材研究って、楽しいですね。

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