地図あそび1 「都道府県名」
2010.03.16
近年、カーナビやインターネット、携帯電話などでの地図検索が普及し、ボタンひとつでどこでも迷わずに、探し出すことができるようになりました。住所や建造物の名称だけでなく、電話番号のみでも検索できるし、ストリートビューなる画像による検索サービスさえできています。
都道府県名やその地図は、お祭りや食物の産地、天気予報、ニュースなどで、毎日のテレビや新聞に溢れています。しかし、今、実際に目にした地名や位置を、正確にはなかなか言えないのが現状です。
先日も、山口県での全国会議に行った折、ホテルの仲居さんは「山形県って、秋田の上ですよね」との応対でした。私たち東日本の人が「島根県と鳥取県」の位置を尋ねられたとしたら、正しい答えをなかなか返せないのと同じことなのでしょう。
更に、「秋田の上」と言うように、二つの地の位置関係を「上・下・右・左」でなく、「東・西・南・北」で言える人が少ないのも現状です。このようなことは、大人だけでなく子どもにも言えることです。日本人は、方位感覚が弱い人が多いと言われていますが、地図を楽しみながら正しい知識や知恵として定着していきたいものです。
この度の学習指導要領改訂により、社会科に都道府県や近隣諸国の名称と位置を、小学5年生で学ぶ時間が新たに入ってきます。これまでは中学1年生の地理で扱われていたのですが、単なる暗記で終わらせてはいけません。この学習では地図の面白さを伝えるため、地図を実際に手にしながら、ゲームやクイズ等を取りいれた多様な活動が大事になってくるでしょう。
地図を「見る」だけでなく、楽しく「読む」ことや「調べる」活動を通して、自分の住む地域や我が国・世界に興味関心を持てる日本人になってほしいと願っています。
右図は、私が若い頃に実践した「山形県の形は“二人の横顔”」です。今でも教え子らからは印象深かったと言われます。これは、県の輪郭・形に注目した事例で、静岡県の“金魚”や愛知県の“カンガルー”などもあります。
また県名の文字(「福・山・川」や「動物」)、位置(「海」の有無、太平洋か日本海沿いか)、県名や県章・シンボルの由来、県庁所在地名と県名の違い等に注目した多様な工夫が考えられます。若い方々のこれからの新たな実践が楽しみです。