穏やかに落ち着いて
2012.11.16
四国は徳島市まで出張してきました。会議前の時間を使って、街中を散策しました。以前訪れたのは阿波踊りの余韻が残る真夏でしたが、この時期の街並みは穏やかで、遊覧船も川岸に繋がれたままでした。
会議場近くに徳島城趾があります。その木々のなかを、JR高徳線(香川県高松駅と徳島駅を結ぶ)沿いに歩きました。何気なく景色を眺めていて、ハッと気づきました。JRの幹線にもかかわらず、線路近辺がゴタゴタしていないのです。カラッとしているともいえるでしょうか。理由は簡単でした。電化されていないのです。電線やコンクリート柱がないだけで、ノスタルジックともいえる落ち着いた沿線風景ができあがっているのでした。
穏やかで落ち着いた雰囲気を醸し出しているのは、街並みや景色だけではありませんでした。歩いている人々、走っている自転車もそうだったのです。人をかき分けるでなく、列を守り、譲り合いながら歩道上を動いている姿が、とても好ましく思えるのでした。そして、数年前に訪れた高知市内で見たのと同じ様子を目にすることができたのです。
大通りの歩道上。幅わずか数メートルの小道と大通りが交差する歩行者用信号機の所での様子です。信号機は赤。一方通行の小道から大通りに出ようとする車も自転車もない状況。その気になれば何歩かで渡れるところを、誰一人動かず、皆青信号に変わるのを待っているのです。赤信号なのだから待っていて当たり前。しかし、その当たり前でない様子を日頃見ている私にとって、とても心地よい新鮮な発見だったのです。徳島市でも、高知市でもそうでしたから、四国全体が、そうなのかもしれません。
徳島の方のお話によると、JR線電化の計画はあるけれど、なかなか進まないとのこと。よそ事だから言えるのだとお叱りを受けるかもしれませんが、電化しないままもいいのではないかと私には思えてしまいます。日常生活が電化によって快適・便利になった反面、すべてに速さが求められ、人の足の動きまでもに余裕がなくなってしまっている現実。そういえば、相変わらず早足すぎるし何でも拙速すぎると、家人から叱られることの多い私です。せいぜい歩くときだけでも、スローステップを心がけることにしましょうか……。(平24.11.16)