社長ブログ

たまには歩いてみませんか

2019.02.26

 紅梅の 紅をうるほす 雪すこし (松本たかし)
まもなく3月です。日もかなり長くなってきました。12月下旬、冬至の頃に比べると、昼の時間は1時間30分も長くなっています。雪国の人間にとっては、冬の日差しのありがたさを感じるこの頃です。それに、今年の冬は雪が少ない。いつもの冬より過ごしやすいです。積もっていた雪もすっかり消えました。大雪だった昨年の今頃は40㎝もあったのに、驚きの暖冬です。
003%20%28220x124%29.jpg雪が少ないからというわけではありませんが、この時期の通勤は時々「歩き」です。夏場は自転車、冬場は徒歩、時々車という通勤形態は、会社にお世話になって5年、変わらずです。慣れれば雪道もそれなり楽しいものです。車を運転していれば、運転に集中しなければなりません。しかし、歩けばじっくりと周りの風景を観察することができます。家並みの変わりよう、空を駆ける雲の動き、雪をまとった遠い山脈、両手で化粧しながら運転する女性。すべてがおもしろい光景ばかりです。新しい発見、楽しい出会いもあります。
知り合いの校長先生と話をした時です。新採校長として赴任した小学校は置賜地方飯豊町にある小学校でした。児童数50人に満たない小さな学校です。一斉下校指導で校長も子ども達といっしょの帰り道のことだそうです。町場の子ども達だったら、1列になって無口で帰りそうなものですが、その子ども達は仲良く手をつなぎ、学校で習った歌を歌いながら楽しそうにたんぼ道を下校したそうです。その時の様子を懐かしそうに話してくれました。校長先生は本当に感動したとおっしゃっていました。のどかな光景は、まさに『二十四の瞳』や童謡『靴が鳴る』を彷彿とさせます。多分、街中では見かけられない光景でしょう。
005%20%28124x220%29.jpg昔、小学校に入学してまもなく、学校からの帰り道、同級生の女の子と女の子の家までいっしょに帰ったことがあります。彼女は学区外通学で、今の下条五叉路付近のお店が家でした。小学校は昔の山形九小、今の馬見ヶ崎川沿いにあったので、小学1年生にとっては相当な距離です。手をつないだかどうかは記憶にありませんが、学校のことを話しながら帰った覚えがかすかにあります。
陽気のいい日でした。田おこし前の田んぼにはレンゲソウやオオイヌノフグリが咲き、スズメやヒバリが鳴きながら飛んでいました。のどかな風景です。きっと、手をつなぎたくなるんでしょう、歌も歌いたくなるんでしょう。でも、そんな記憶はありません。
校長先生の体験をお聞きして、50年以上も前の出来事を思い出したところです。決して妄想ではありません。
手をつなぐとか歌をいっしょに歌うという行為は、心が開かれていないとできるものではありません。子ども達同士の日頃の人間関係の良さもあるでしょうが、周りの風景や環境も子ども達の心を開く大きな要因になっているのかなと思いました。
『となりのトトロ』のエンディングに流れる『さんぽ』という歌があります。誰もが知っている歌詞は「歩こう 歩こう わたしは元気 歩くの大好き どんどん行こう」で始まります。作詞は、大好きな絵本作家の中川李枝子さんです。この歌詞のような気持ちで、これからも新しい発見を求めて元気に歩きたいと思っています。(2019.2.26)

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