今年もいろいろありました
2019.12.23
大歳(おおとし)の 暮れゆく雲を 仰ぎけり (西島麦南)
年の瀬となりました。あと9日寝るとお正月、です。寒さが苦手な者にとって、今日この頃の寒気は堪えます。
高校時代、毎年年末、冬山合宿が蔵王の地蔵岳に連なる三宝荒神山の麓で1週間の日程で行われました。夏テントと違い二重になった冬山用テントでの生活でしたが、厳しい寒さで目が覚めることがしばしばでした。暖房はもちろんありません。朝になると呼吸する息が凍結して、テントの内側だけでなく寝袋の上まで一面真っ白な霜で覆われるほどの寒さでした。この季節になると思い出します。
さて、今年の国内の出来事を振り返ってみると、新天皇が即位、元号が「令和」と改められお祭りムードで賑やかだった一方、度重なる台風上陸など自然災害がきわめて多い年となりました。また、政治や社会面でも日韓関係の険悪化、闇営業、「桜を見る会」問題など、世間の耳目を集めた出来事もたくさんありました。
中でも驚いた出来事は、神戸市の小学校における教師間のいじめ、暴力、暴言問題です。報道された一連の出来事は、40年近く学校という社会で生きてきた者にとっては、まさに信じがたいことばかりです。日頃、「けんかはよくない」「人をいじめちゃダメだ」「仲良くしなさい」と言っている先生が、自らしてはいけないことをしているというのにはあきれてしまいます。
いじめの中身もさることながら、学校という社会がいかに一般常識から外れていて、社会的に孤立した世界であったのかという驚き、落胆と失望です。
学校も人の集まりですから、様々なしがらみ、人間関係における確執も生まれます。仲良くお茶を飲み、酒を酌み交わす時もあれば、教育論に口角泡を飛ばして議論を戦わせ、殴り合いまでいかなくても口げんかになることも時にはあるでしょう。しかし、同僚と教育論を戦わすことと、同僚をいじめて喜ぶこととはまったく次元が違う話です。
教員社会が民間会社や一般公務員と違うのは、いわゆるピラミッド型組織ではなく、鍋ぶた組織であることです。部下がいれば上司がいるのではなく、鍋の持ち手のように校長、教頭がいて、それ以外はふたのように横並びに一般教員がいるという独特の組織構造です。この構造は、「チームとしての学校」の基底となる同僚性といった協力性、協調性を育みやすい反面、いい意味での競争がなく、馴れ合いと甘えの構造に陥りやすい傾向があります。
今年の流行語大賞は「ONE TEAM」でした。また、文科省でも「チーム学校」ということを標榜しています。「チーム」。軽易に使う言葉です。
そもそも「チーム」とは、「Together Everyone Achievement More」の頭文字「TEAM」から生まれた言葉だと言われます。すなわち、「みんなで、一緒に、より多くのことを、達成する」という意味だそうです。「チーム」は、単なる集団である「グループ」とは違います。グループは、単なる小集団、集まりです。しかし、チームには達成すべき共通の目的、目標があります。目的、目標を共有できるかできないかでチームになるかグループでしかないのかが決まります。
学校は、子ども達の健やかな成長を育成することを共通の目的とする組織です。神戸の学校は、仲良しグループはあったけれどチームとしては成り立ってはいなかったということでしょう。まさに、鍋ぶた構造の弊害と言ってもよいと思います。
会社も同じです。「まあまあ、なあなあ」の仲良しグループでは困ります。営業も内勤も、もちろん管理職も、共通の目的、目標に向かって同じ方向で取り組む、いわゆるベクトルを同じにするチームでなければなりません。山形教育用品は、これからもチームとしてあり続けたいと思います。
とは言っても、組織がそう簡単にチームとして成立するわけではありません。労働時間や人間関係、労使関係などの職場環境の改善も大事な要素になります。「#忘年会スルー」のご時世であります。でも、たまには職場で酒を酌み交わすことも大事なのかなと思いますが…。
夕焼け空の暮れゆく雲を仰ぎながら、来年はいい年であって欲しいなと願うばかりです。みなさん、よい年をお迎えください。(2019.12.23)