社長ブログ

堅雪

2021.02.15

皆さんは、「堅雪(かたゆき)」をご存じでしょうか。若い方は当然、中年以上の方でも知っている人は少ないかと思います。ましてや、「堅雪」を実際に体験した人はほとんどいないのではないでしょうか。
「堅雪」とは、2月頃、積もった雪が日中の暖かさで少し溶け(特に表面)、快晴の夜にギンギンに冷やされ、翌朝凍って堅くなり、その雪の上を歩くことができる様な状態になることです。
道路、歩道、駐車場などに見られる踏み固められた雪や、溶けた雪がバリバリの氷になっている状態ではありません。
誰も踏み入っていない、水田や畑、原野のふわふわした雪が積もっている場所をイメージしてください。凍って堅くなったと言っても、氷の状態ではなく、表面はザラザラしていて、お菓子のウエハースの様な感じで堅くしまった雪です。また、積もった雪が全部が堅くなっているのではなく、表面の部分だけ堅くなっているのです。理解しやすいように実際によくあることを付け加えると、「堅雪」を歩いていて、たまに「堅雪」が薄い部分を踏んでしまうと、ズボッと足の付け根まで雪の中にはまります。中はさらさらの雪なのです。そのため、「堅雪」の上を歩くときは、結構慎重に、池にできた氷の上を歩くような感じで進んで行きます。
「堅雪」の醍醐味は、普段は踏み入ることができない、水田や畑、原野、たまには森林の中を、特別な道具を使わなくとも、「空飛ぶ人間」のように、好きなコースを自由に歩けることです。
私が、幼稚園や小学校低学年の時は、2月頃の晴れた寒い朝、通学班の全員が通学路を逸(そ)れ、「堅雪」をショートカットして、たまにズボッとはまりながら、楽しく通学したものです。
DSC_1051copy.JPG山辺の鳥海小・中中に勤務した時のことです。2月の快晴の朝、全てのものが凍り付いている極寒の中、畑に積もった雪が朝陽に照らされて、まるでダイヤモンドをちりばめたように光り輝いていました。「この美しい光景を写真に取らねば!」と畑に近づき、ベストアングルを探して、はまるのを覚悟して一歩畑に足を踏み入れたとき「あれ? 歩ける!」「堅雪?」。そうです。45年ぶりの「堅雪」です。学校付近の積雪は約1m50cm。はまったら大変です。慎重に、一歩一歩、足を進めました。どこまで行っても、はまりません。次第に楽しくなり、普段は行くことができない、森林が切れたところにある、見晴らしのよい谷間の縁まで行きました。快晴の青の中に、真っ白な葉山、月山、朝日連峰が連なる光景。この時期しか見られない絶景です。
「『堅雪』を子供たちに伝えねば! 今日の今の時間しかない!」(私は、毎朝、児童を集合場所まで迎えに行き、通学班と一緒に登校していました)。登校途中、児童たちに、水田の「堅雪」の上を歩いてみせ、「楽しいから歩いてみないか」と声をかけたのですが、全く無視されました。
その4年後、村山教育事務所の西に広がる水田が奇跡的に「堅雪」になり、楽しく歩いた後、所員の方々に「堅雪」を紹介しました。笑顔で話を聞いてくれましたが、今思うと迷惑なことだったと反省しています。
※写真は2月12日快晴の朝、堅雪出現。馬見ヶ崎河川敷サッカー場の堅雪を歩いた足跡。

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