社長ブログ

倚(よ)りかからず

2008.02.26

所用で鶴岡に行きました。天気がよくて月山道は快適です。路面はかわいていてなんの心配もありません。もっとも、運転していたのは私ではありませんが。
月山第2トンネルを抜けたあたりから、周りの雪が急に多くなってきました。朝日インターでおりて鶴岡に向かうと、雪が降り出し、家々の周りにもたくさんの雪があり、「内陸よりも多い! こんなこともあるんだ」と、へんな感心をしてしまいました。ときどき雪が風に舞い、庄内地方はどんよりとした雲に覆われていました。
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庄内地方といえば、詩人とか、作家とか、文学者が育つところなのでしょうか。その作品が教科書にも登場する吉野弘さんや、今も人気の藤沢周平さん、佐高信さん、昔は、『三太郎の日記』の阿部次郎さん、その甥の名随筆家、阿部譲さん、さかのぼって学者、文人を数え上げたらきりがないでしょう。
私の好きな詩人、茨木のり子さんは大阪生まれですから、庄内で育ってはいませんが、お母さんが庄内三川町のご出身、ご主人は鶴岡出身のお医者さんだそうです。いまは加茂の海を見下ろす高台のお墓で、ご夫婦で安らかに過ごしておられるそうです。
茨木のり子さんの作品に、『倚りかからず』があります。この詩の中で、茨木さんは、できあいの思想や宗教、学問には倚りかかりたくないといい、そして、次のように言います。
もはや
いかなる権威にも倚りかかりたくはない
長く生きてきて
心底学んだのはそれぐらい
じぶんの耳目
自分の二本足のみで立っていて
なに不都合のことやある
倚りかかるとすれば
それは
椅子の背もたれだけ
庄内の雪空を見上げながら思ったのです。茨木さんも、根っからの庄内人なんだと。庄内の人は倚りかからないのです。地吹雪ふきすさぶ庄内の地に生き、歴史の荒波を乗り越えて心底学び、庄内の人が倚りかかるとすれば、それは、椅子の背もたれだけなのです。

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