社長ブログ

円周率は3.14か?

2008.02.28

昨日は株主総会でした。寒い中、またお忙しいところをお出でくださった株主の皆様に心からの感謝を申し上げます。ありがとうございました。
そのときの挨拶で、新学習指導要領の話をしました。2月15日に案として公表され、次の日の新聞に取り上げられました。日本経済新聞では、1面に「理数系、最大3割授業増」の見出し、3面に「脱ゆとり路線くっきり」の見出しの後に、「『円周率3.14』やはり徹底」の小見出しがありました。
円周率については、現行学習指導要領5年算数に、次のように書かれています。まず、指導内容として、「円周率の意味について理解すること」「円の面積の求め方を考え、それを用いること」とあります。そして、「内容の取扱い」というところに、「円周率としては3.14を用いるが、目的に応じて3を用いて処理できるよう配慮するものとする」とあります。
これだけのことだったのですが、当時の新聞各紙は、「これからは円周率を3と教える」と書き、一部の教育学者が、それを鵜呑みにし、指導要領を読むこともせずに、ゆとり教育の象徴として批判したのでした。
私はその頃学校に勤めておりましたので、保護者の皆様に、このマスコミと一部教育学者の誤りをただしておりました。指導要領には「円周率としては3.14を用いる」と書いてあるのだから、子どもたちには「3.14」と教えます、その上で、たとえば、グラウンドに巻き尺2メートルを半径にして描いた相撲の土俵のおおよその面積を求めるときは、2×2×3=12、およそ12平方メートルだということを教えるのです、と。
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3.14という数も実はおよその数であって、円周率は永久に続く無理数です。それで「3.14を用いる」というように、「~を用いる」と、この場合決めているだけです。どんな場合でもこの3.14でなければならないものではありません。ですから、そんなに吟味するものでなければ「3」として計算してもよいわけです。「目的に応じて3を用いて処理できるよう配慮する」とはそういうことを教えるという意味で、広がりのある教え方なのです。
このたびの改訂では、「円周率は3.14 を用いるものとする」だけの記述となり、「目的に応じて3を用いて処理できるよう配慮する」という記述が消え、逆に硬直した教え方になることが危惧されます。円周率は正確に3.14ではないのです。
もっとも、山形県の先生方は、3.14の持つ意味を丁寧に教えますから、心配はいらないのですが。

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