「答え探し屋」
2008.05.02
連休で暇をもて余しているわけではありませんが、4月22日に行われました全国学力調査第2回目の問題を見てみました。文部科学省ホームページには、「全国的な学力調査」というサイトがあって、そこに、20年度のテスト問題(A、Bとも)、正答例、どんな問題か、出題の主旨、学習指導要領との関連、評価の観点、問題の形式が分かる「調査問題一覧表」、採点の仕方が分かる「解答類型」が載せられています。
まず、小学校国語を見てみました。全部の問題をさらっと見て、「あれ、なんか変だな」と思いました。A問題とB問題が似ているなあ、確かにB問題は記述式が多いけれど、でも、なんか変だなあ。
去年のB問題にこんな問題がありました。二つの資料、資料1は8段落の読み物資料、資料2は帯グラフの資料ですが、この資料をもとに4つの設問があります。その最後の問題は、いわゆる正答のない、自分の「見たり、聞いたり、読んだり、体験したりしたことなどをもとにして」書く問題でした。
同じ出題意図と思われる今年の問題では、「図書館だより」の資料を提示して4つの設問がありました。記述式の問題として、2番目の問題、「80字以上100字以内」で「あなたの発表」を書きなさいというものがありました。
ところが、「あとの条件に合わせて書きましょう」とあり、その条件に、「話し合いのテーマに合わせて、グラフから分かったことと、それをもとにして考えたことを書くこと」と「木村さんの発表の内容と同じにならないこと」とありました。
「あなたの発表」とあるのに、この条件では、解答例にあるとおり、「一日に読書を全くしない6年生は、約20%もいるので、・・・」と書くしかないではありませんか。それでは、「あなたの発表」にはなりません。
「読書時間を増やすこと」という話し合いのテーマから、木村さんの発表と重ならないようにして、自分の体験をもとに考え、書く力を見る絶好の機会なのに、どうして、昨年の出題のようにしなかったのでしょうか。
なんとなく変だなあと感じたのは、こういうことでした。きちんと答えがある問題になったのだなあということです。おそらく、昨年度は、こういう問題の採点で相当苦労をしたのでしょう。だから、あんなに遅くなってしまったのでしょう。
でも、だからといって、内容としての正解のある問題だけの調査にしてしまったら、AとBは同じになってしまいます。全国の教室では、それこそ指さしではありませんが、「答え探し屋」をつくる授業ばかりになるでしょうね。
山形県の国語教室は、秋保光吉先生以来、「言葉」と「言葉を発する主体」を育てることを大事にしてきたので、「答え探し屋」はいません。だから、国語学力が高いのです。