社長ブログ

せんこう花火

2008.07.02

「雪の里情報館」では、特別企画展として、「世界初! 人工雪を作った科学者 中谷宇吉郎の『雪害』宛ての手紙」というものをやっていました。
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中谷宇吉郎といえば、思い出すのです。ずっと昔、国語の教科書に『せんこう花火』という教材がありました。勤めて5年目、6年生を担任したときに、「よし、この教材で公開授業するぞ!」、早速教材研究に取りかかりました。
教材研究は楽しいものです。教材についていろんな角度から調べ、子どもたちにどう指導するか、ああでもない、こうでもないと、ぐずぐずしているのです。その、ぐずぐずが、楽しいのです。
国語科の場合、まず、教材文を読むことから始まります。『せんこう花火』の作者は中谷宇吉郎です。さっそく「中谷宇吉郎」を調べます。今みたいにインターネットどころかパソコンなんかもない時代です。図書館に行って著作者カード「な」から始めます。
中谷宇吉郎は科学者で、先生は寺田寅彦、「雪博士」とも言われている、はじめて人工雪を降らせた人などと、少しずつ分かってきます。少しずつ謎がとけていくようで、それが何ともいえないのです。それでも、教科書の文章の原典にはなかなかたどり着けません。
そんなある日、おもしろいことに気がつきました。彼の先生の寺田寅彦の随筆集を読んでいたら、教科書の文章そっくりの『線香花火』という随筆を見つけたのです。もしかしたら、教科書に載っているのは、師の寺田寅彦の文章をもとに、中谷宇吉郎が書きおろしたものではないかと思ったのです。
寺田寅彦が『線香花火』に書いているように、彼は弟子の中谷にも線香花火を研究するようにすすめたのです。中谷は、それに従って、線香花火の研究をやったのでしょう。そうしてできたのが教科書にある『せんこう花火』なのでしょう。
こんな風に考えていると、この文章、二人の科学者の執念が乗り移ったようで、なんか、ものすごく重たいものになってきて、子どもたちに伝えたいものがどんどん大きくなってくるのでした。おもしろくてどきどきしながら、反面、授業に組み立てるのに、苦しくなってくるのでした。
そんな時には考えるのをやめて、即実験。せんこう花火をしこたま買い込んで、理科室にカメラをセットして、撮影開始! 教科書には11枚の写真が載っています。せんこう花火に火がついてから、「火花のエネルギーをはきつくした火の球」がぽとりと落ちるまでの11枚です。
実験用スタンドのクリップにせんこう花火をぶらさげ、カメラの高さを調節、ピントを合わせ、着火! せんこう花火撮影会は夜遅くまで続いたのでありました。
つづく

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