為せば成る 為さねば成らぬ 何事も
2008.07.25
教え子の結婚式での私の祝辞は、来る途中のおばあのこと、そして、おばあに聞いてメモした「てぃんさぐぬ花」のことから始まりました。おばあのようにはいかないけれど、2番の歌詞、『天ぬぶりぶしや ゆみばゆまりゆい うやぬゆしぐとぅや ゆみやならん』を読んで、その言葉で立派に育った『しまんちゅう』の新郎と、豊かな文化を持つ沖縄を称えました。
そして、親の愛を一心に受けて、それこそ大事に大事に育てられたMさんの幸せを祝し、4番の歌詞、『宝玉(たからだま)やてぃん みがかにばさびす 朝夕肝(あさゆちむ)みがち 浮世(うちゆ)渡(わた)ら』のように、二人で、心を磨き合って幸せに、と結びました。
ところで、この歌、「てぃんさぐぬ花」の6番には、聞いたことのある言葉が出てきます。もっとも、「てぃんさぐぬ花」にもいろいろな歌詞があるのでしょうが、私がおばあから聞いた歌詞では、こうです。
「なしば何事(ぐとぅ)ん なゆる事(ぐとぅ)やしが なさぬ故からど ならぬ定み」
そうです、わが米沢藩の名君、上杉鷹山公の言葉、「為せば成る 為さねば成らぬ 何事も 成らぬは 人の 為さぬなりけり」と同じではありませんか。おどろきました。
「てぃんさぐぬ花」は、沖縄の教訓唄と呼ばれているそうです。親の言うことは素直に聞きなさい、親には孝行しなさい、親のように立派に成りなさい、いつも心を磨きなさい、誠実が一番大事、何事も努力すればできるものだ、という具合です。教訓は、どこも同じなのですね。
上杉鷹山は、故ケネディ大統領が尊敬する人物として有名です。一昨年、我が社の全社員研修会で、上杉季雄先生からお聞きしました。ケネディが鷹山を尊敬したのは、鷹山の「伝国の辞」、「三助」の精神に、真の政治家を見たからだそうです。
「伝国の辞」とは、上杉家代々の家訓であり、「国家は、先祖より子孫へ伝へ候国家にして、我私すべきものにはこれなく候」「人民は国家に属したる人民にして、我私すべきものにはこれなく候」「国家人民の為に立たる君にして、君のために立たる国家人民にはこれなく候」です。
「三助」とは、「自ら助ける、自助」「近隣社会が助け合う、互助」「藩政府が手を貸す、扶助」の3つです。盛岡藩で7万人、仙台藩で30万人の死者が出たといわれる天明の大飢饉でも、この「自助」「互助」「扶助」により、米沢藩は、一人の死者も出さなかったといわれています。
まさに、「為せば成る 為さねば成らぬ 何事も 成らぬは 人の 為さぬなりけり」です。
来年、米沢は、その上杉家を支えた直江兼続で、熱く盛り上がるのです。