社長ブログ

メタ言語活動

2008.10.24

ある学校で授業を見せていただく機会がありました。子どもたちは4人だけで、それに複式学級でしたが、言葉の力が身に付く質の高い国語の授業でした。
「本の世界を広げよう」という単元で、「読書クイズを出し合う」という活動でした。「本の世界を広げる」ことは、国語科の目標の一つです。本のおもしろさを知り、幅広く読書する習慣が身に付くことはとても大切なことです。
そのため、教科書(教育出版)では、全学年に読書の単元を設定しています。学年により、具体的な活動は、当然ですが、すべて異なります。3年生では、「読書クイズを出し合う」という活動を取り上げています。
国語科は、言葉を教える教科です。国語科では、言葉を教えるために、言語活動を行います。「読書クイズを出し合う」という活動は、「本のおもしろさを知り、幅広く読書する習慣が身に付く」という目標を実現するための活動です。
教科書では、「読書クイズ」の例として、「物語に出てくる会話文の順番を並べる」「わざとかえて読んだ物語の部分を当てる」「本に出てきた物がだれの持ち物か当てる」「自己紹介した本の登場人物を当てる」「本についての問題に答える」の5つをあげています。
授業者は、まず『のらねこ』という童話でこの5つの読書クイズの仕方を指導し、5つ以外のクイズも考えさせながら、他の本を読んで読書クイズをつくり、クイズ大会をするという単元を考えました。読書のアニマシオンによる指導法です。
教科書には、『のらねこ』のほかに、「本のしょうかい」として『セロひきのゴーシュ』『長くつしたのピッピ』など6冊の本もあげてあります。この授業では、『白いぼうし』『王さまばんざい』など、子どもたちが選んだ本も加えて、読書クイズづくりが行われました。
見せていただいた授業は、一人一人が読書クイズをつくり、出し合う場面でした。こどもたちは本当に楽しそうに本を読み、クイズをつくり、得意げに出題していました。子どもたちの活動を見ながら、なるほど、これが「メタ言語活動」だなと思い出しました。
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『中等教育資料』の5月号は「言語活動を重視した指導の充実」が特集で、国立国語研究所の杉戸清樹所長の提言、「言語活動についての言語活動を」がありました。この「言語活動についての言語活動」を、「メタ言語活動」といいます。
子どもたちはすべての本を読み、その本についてクイズを出し合い、クイズを出し合うという言語活動を楽しみ、ひいては、本を読むという活動を楽しんでいます。子どもたちは、クイズを出し合う活動を楽しんでいますが、指導者は、その仕方に目を向けさせます。
国語科として大切なことは、本を読むこと、そこからクイズをつくること、そして、その活動を楽しむことです。この授業に、杉戸所長の言う「言語活動に『のめりこむ』だけでなく」「言語活動についての言語活動」についての指導を見た思いがしました。

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