社長ブログ

金のトランペット吹きならせ

2008.11.10

会議で広島に行って来ました。夕方、時間が空いたので、平和記念公園に行きました。この時刻なのに、公園にはたくさんの修学旅行の生徒がいました。ひとかたまりに集まって、ボランティアの方でしょうか、そのお話を、一生懸命聞いていました。
原爆ドームの前の木陰では、小学生の一団が、学習を終えて、「ありがとうございました」と挨拶をしたところでした。立ち上がりながら、ほっとしたように顔をゆるませて、それでも子どもたちは無言でした。
原爆死没者慰霊碑の前は、いくつもの人だかりで、正面で手を合わせる順番は、ずっと後のようでした。ふと見ると平和祈念像と書かれた碑。三日月に母と子。そのかたわらに、『平和祈念像に寄せて』の詩。
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 天心の三日月の上に
 幻でない母と子の像
 これこそ永遠の平和の
 象徴
 童子よ母の愛につつまれて
 金のトランペット吹きならせ
 天にも地にも透明な
 平和の調べを吹きおくれ
 どんな未来がこようとも
 頬っぺいっぱいふくらまし
 no more Hiroshimaの
 金のトランペット吹き
 鳴らせ
詩のあとに、「1978年8月 草野心平」。今から30年前、詩人はこの像を見つめ、日本を見つめ、世界を見つめ、永遠の平和を確信したに違いありません。慈愛深い母が世界中にいて、金のトランペットを吹きならす子どもたちが世界中にいることを。
ビデオカメラを手にした英語を話す5人の人たちに続いて、やっと私も、慰霊碑とその間にぴっちりおさまる原爆ドームに手を合わせることができました。顔を上げたとたん、高校生の一団に押し出されてその場を離れ、資料館のながれにのったのでした。
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資料館でも、子どもたちは真剣です。展示物を見つめ、口に手を当てたまま動かない女子生徒たち。通路を、なにやら楽しそうに話していた男子生徒たちも、ひとたび展示室に入るや顔つきが違ってきます。
5時も過ぎて、平和大通りの並木道を歩きながら、詩人が思ったとおり、永遠の平和はきっとくると思いました。この子どもたちは、母の愛につつまれて、本当に、しっかり、そして、さわやかに、金のトランペットを吹き鳴らすに違いないと。

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