『瑠璃色の地球』は今…
2019.10.25
秋の雲 はてなき瑠璃の 天をゆく (山口誓子)
秋も深まってきました。この頃の夕方の空は美しい夕焼け色に染まっています。誓子は秋の澄みきった空を「はてなき瑠璃(るり)」と詠みました。昼の光景か夕方の光景かはわかりませんが、黄昏前、朱みが差し始める前の青く澄み切った空と真っ白な秋雲の美しいコントラストを想像します。
「瑠璃色」とは、「宝石の瑠璃」のような「濃い紫みを帯びた鮮やかな青」と辞典にはあります。群青色に近い青色ですが、もっと幻想的な深みがあります。群青色が海の色なら、瑠璃色は天空の色だそうです。残念ながら、誓子が「瑠璃」と詠んだような空には未だお目にかかったことはありません。
「瑠璃色」と言えば、松田聖子の歌『瑠璃色の地球』を思い浮かべます。30年以上も前の曲です。作詞は松本隆、作曲は平井夏美です。平井夏美には、井上陽水との共作によるあの『少年時代』があります。メロディーもいいですが、松本隆の詩がいいなと思います。特に、サビの部分が好きです。
この歌、多くの人がカバーしています。ファンには怒られるかもしれませんが、聖子ちゃんの歌よりもカバー曲のほうが好きです。合唱曲にもなっています。特に、旧福島県立安積女子校の合唱は秀逸です。
人類初の宇宙飛行士ガガーリンが「地球は青かった」と言ったように、松本が「瑠璃色の地球」と表現した美しい地球は、今、危機に瀕しているようです。
先日、朝のテレビでアフリカはタンザニアのザンジバル島の女性失業問題を取り上げていました。ザンジバルは観光資源しかない貧しい島ですが、最近は海藻の収穫で現金収入が増え、住民の経済状況も向上していました。
ところが、近年の地球温暖化現象で海水温が上昇、海藻が死滅するケースが多くなってきたそうです。海藻の摘み取りで現金収入を得ていた女性たちは失業状態に陥っているとの特集でした。
遠いアフリカの話かもしれません。しかし、日本でも近頃の異常気象現象の多発を考えれば、対岸の火事とは思えません。
弱冠16歳のスウェーデン人環境活動家グレタ・トゥンベリが、先月、国連気候サミットで「未来の世代はあなたを見ている。私たちを裏切る道を選べば許さない」と、怒りのスピーチを行いました。若いのにすごいな、と正直思いました。
小泉新環境大臣も出席して「気候変動のような大きな問題は楽しく、かっこ良く、セクシーであるべきだ」との発言に対し、元アナウンサーの小島慶子さんがサンドウィッチマンの富澤のギャグ「ちょっと何言ってるかわからないです」を引用して皮肉交じりのコメントをしていました。よく聞いても、やっぱり「何言ってるかわからないです」。
グレタに比べ、一国の大臣の発言としてはちょっとチャラいな…と思います。『瑠璃色の地球』のほうが、ずっとかっこ良く、sexy、いや、coolのような気がしますが…。(2019.10.25)