社長ブログ

スパイクタイヤって何?

2021.12.01

12月に入り、いよいよ本格的な雪のシーズンに入りました。
山形の交通手段にはなくてならない車。しかし、冬に備えて必ずしなければならない、面倒な年中行事があります。それは、普通タイヤからスタッドレスタイヤへの交換です。
私は、11月の勤労感謝の日前後にスタッドレスタイヤに交換します。就職3年目、勤労感謝の日の翌々日、11月25日の午後、「みぞれ」から変わった雪が見る見る間に積もり、11月としては驚きの15cm超の積雪となりました。それ以降、11月にこれほどの積雪を経験したことはありませんが、トラウマのように、勤労感謝の日前後にタイヤ交換をしています。

今年も、タイヤ交換をしながら、「初めて運転した頃は『スパイクタイヤ』だったなぁ」「今考えると、金属の突起物が出たタイヤなんてあり得ないタイヤだったなぁ」と懐かしく思い出します。スパイクタイヤを知らない、今の若い人は「何それ?」ときっと言うでしょう。

スパイクタイヤは、1959年フィンランドで開発され、日本では1970年から普及しはじめ、数年後、ほぼ100%の装着率になりました。スタッドレスタイヤと比較すると、積雪路面では大差はありませんが、ツルツルの凍結路面でははるかにスパイクが効いていたように思います。
しかし、マイナス面も多いタイヤでした。第1に「うるさい」。カチャカチャと路面をひっかく音はかなりのストレスで、早く夏タイヤに交換したいと常に思っていました。第2に「傷あと」。道路は当然、駐車場や各家庭への入り口など、車が通るいたるところに金属スパイクがひっかいた筋状の傷がありました。第3は最大の問題である「アスファルトを削ることによる弊害」でした。
弊害の一つ目は「アスファルトの轍(わだち)」です。スパイクタイヤによって、交通量の多い道路は、まるで凹凸の凹のレールを敷いたように2本の轍ができていました。雨が降ると、轍に水がたまり、通過する車は、歩道を歩いている人めがけて、バケツで水をかけるように、泥水を撥ねてしまいます。運転する人も気を遣いますが、歩いている人はもっと悲惨です。中学校に勤務していた時、登校してきた生徒の白い夏制服が、泥水でずぶぬれだったことはしょっちゅうでした。
弊害の二つ目は「アスファルト粉塵」です。アスファルトを削った粉塵は、路肩に土砂のように積もり、春先の風の強い日は「砂嵐」のごとく、人や洗濯物を襲います。特にアスファルト粉塵が酷かったのは仙台市でした。どのくらい酷かったかというと、私が仙台に住んでいた時、春、粉塵が舞う強風の日、髪の毛は泥で固めたリーゼント状態でした。
(参考:1985年に宮城県が「スパイクタイヤ対策条例」を制定したのをきっかけに、各地でスパイクタイヤを制限する動きが加速し、1990年に「スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する法律」が公布され、スパイクタイヤは姿を消しました。)

スパイクタイヤが姿を消したのは、「アスファルト粉塵」の問題がきっかけでしたが、車を運転する交通強者には、多分その辛さは分からない、交通弱者である歩行者(特に子供たち)が被った「アスファルト轍の泥水撥ね」問題は、社会的にはあまり注目されなかったので、今回のブログでは「一つ目の弊害」に取り上げてみました。
(写真:舞鶴山の愛宕沼のライトアップ。展望台から沼と温泉街を望む。11月17日夕方撮影)

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